乃木坂46やマツコ・デラックスを起用したテレビCMで、広く世間に知られるようになったマウスコンピューター。同社は2021年3月期第2四半期、消費増税やWindows7の特需があった前年同期よりも売り上げは27.5%、営業利益は55%伸ばし、上半期として過去最高の売り上げと利益を達成している。かつては通のみが知る秋葉原のパソコンメーカーだったマウスコンピューターが絶好調な理由を小口氏が小松永門社長に直撃する。
(編集部)
マウスコンピューターの名前が広く認知されたのは、2016年のこと。歌舞伎役者の中村獅童さんを起用したユニークなテレビCMがきっかけだ。その後、乃木坂46のメンバーが登場するCMも話題となり、認知がさらに拡大。下のグラフを見ても分かる通り、16年3月期以降はテレビCM効果で売り上げが右肩上がりになっている。また、小松社長によれば、一般消費者への認知が上がったことが法人セールスにも好影響を与えているという。
ビジネスの拡大に伴って露出した問題点とは?
小口覚(以下、小口) このコロナ禍でかなり売り上げを伸ばされています。
小松永門さん(以下、小松) 20年4月、5月は主に法人のテレワーク需要が前年比で約130%増、6月以降はコンシューマーの方の需要が向上して、4~9月の前年比で約150%増になりました。
小口 製品ブランドは、一般向けの「mouse(マウス)」、ゲーミングPCの「G-Tune(ジーチューン)」、クリエイター向けの「DAIV(ダイブ)」、法人向けの「MousePro」の4カテゴリーありますが、売り上げの比率は?
小松 一番大きいのはmouse、次がG-Tune 、法人向けのMouseProの順番になります。成長率ではmouse、続いてDAIVの順で高いです。販路はダイレクト販売が6割、店頭・再販が4割です。
小口 マウスコンピューターは、ある程度パソコンに詳しい人向けのメーカーというイメージがありました。
小松 確かに、もともとはマニアやパソコン好きの方々が客層の中心でした。ただその後、量販店や法人向けへ展開していきました。
小口 気がつくと一般向けのパソコンメーカーに成長されたように見えますが、苦労されたことは?
小松 ビジネスの拡大に伴って営業の販路を広げていった際、最も問題になったのが製品の品質です。直販が主体の時はコールセンターなどで対応できました。しかし販路を広げると量販店やディストリビューターといった販売パートナーに品質面で問い合わせが増えてしまい、ビジネスが伸び悩んでいました。営業はモノを売るのが本来の仕事なのに、顧客サポートに時間を取られるようになってしまったからです。
小口 製品の品質でつまずいて拡大が阻害される。よく見る光景ではあります。
小松 私自身、一消費者として壊れるものは買いたくない。まずはきちんと壊れないものを作っていこうと、入社以降ずっと品質向上に取り組んできました。