不動産業界は地域ではなく客層による差別化が進む?

エレベーターを降りると、同社の執行役員でもあるWeb漫画家・やしろあずきさんのパネルと人気キャラ“ババア”の着ぐるみがお出迎え
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小口: 礼金や敷金などの費用は他の不動産屋さんと同じですか?

平田: うちは全ての物件で仲介手数料が50%オフです。おたやどは、実績と信頼度が高いと自負しておりますので成約率はめちゃくちゃ高いです。通常は10人問い合わせがあって1人契約できるかというレベルだと思いますが、おたやどの場合は10人きたら8人は契約になります。ゆえに、1人から多くお金を取らなくても経営できます。

小口: でも手数料は無料のお店も見かけますが。

平田: ええ、でかでかと手数料無料の看板を掲げている店もありますが、そうした店は手数料を無料にできる管理物件しか紹介しないと考えていいと思います。その不動産屋の所有、もしくはオーナーから直接預かっている管理物件は、手数料が取れなくても収入が入ってくるからです。

 管理物件ばかり紹介されると、当然本人の要望と合わないことが多くなります。お客さんもアホじゃないのでそれが分かるんですよ。ネットで検索したら出てくるのに、なんでこの物件を紹介しないんだと。うちは全ての物件を紹介して、なおかつ手数料半額。「うちで見つからなかったら、他でも見つかりません。条件を変えるか部屋探しを諦めたほうがいいですよ」と平気で言ってしまいます。

小口: 今は不動産業界は共通の賃貸物件データベースを使っていますが、それでも全ての物件を見せてくれるかどうか、親身に探してくれるかに違いがあり、そこが重要なんですね。

平田: 先ほど、不動産屋は地域密着というイメージがあるとおっしゃっていましたが、実は渋谷に住みたいから渋谷の不動産屋に行っても、そこに渋谷の物件がたくさんあるというわけではありません。

小口: だから地域ではなく特定の客層に特化した不動産屋さんが生まれてきたんですね。生活保護受給者向けや外国人、水商売専門といった不動産屋さんでは、審査が通りやすい物件やノウハウを持っていると思いますが、オタクは嫌だって言う大家さんを説得するなんてこともありますか?

平田:オタクは審査でバレないので大丈夫です(笑)。店舗では社員全員が背広を着て対応するなど、社員もオタクだけど仕事はちゃんとしていることを売りにしています。

今のオタクは場所にあまりこだわらない

小口: しかし、ここのお店はすごく良い立地(新宿三丁目)にありますね。賃料が高そうです。

平田: 正直、インターネットだけでも営業できますし、立派な店舗を構えないほうが利益は大幅に増えますけど、店舗の立地が良いとお客さんが安心するんです。“おたくのやどかり”ってそもそも名前が怪しいじゃないですか。

 だから店舗は良い立地に置いています。不動産屋からすると新宿がアクセス面でいちばん良い。ここからどこにでも行けるので物件案内に行くのに便利なんです。

近くには伊勢丹新宿店の本館、窓の向こうには新宿マルイ メン。新宿五丁目交差点の角という好立地だ
近くには伊勢丹新宿店の本館、窓の向こうには新宿マルイ メン。新宿五丁目交差点の角という好立地だ

小口: なるほど。エリアは関東全域?

平田: 東京と、千葉、埼玉、神奈川の4都県です。現在は新宿に2カ所と横浜の3拠点ですが、20年は秋葉原と赤羽に店舗を作る予定です。

 赤羽は埼玉方面、秋葉原は千葉方面のお客さんを案内するためです。千葉方面は、小岩や松戸のほうが安いんですが、ブランド的なイメージづくりもあって。

小口: オタクといえば秋葉原のイメージですもんね。秋葉原の物件を探す人も多い?

平田: 秋葉原は観光地になっていて家賃も高いのでそうでもありません。今のオタクは場所にはそんなにこだわらないですね。

小口: ジャンル的には今後どこを攻めようとかありますか?

平田: 行くとすれば格闘ゲームのファンですね。そこを攻めようかなと。

 でも実は、宣伝しづらい状況なんです。社員が足りないのにお客さんが来すぎている状態で、人材募集にいちばん困っています。社員もオタクというしばりをちょっと緩めて、オタクに理解のある人全般にしようかなとも思いましたが、オタクじゃないと居づらいかもしれませんしね(笑)。

サイトには不動産業界の闇を暴露する記事が掲載されている(漫画はやしろあずきさん作)
サイトには不動産業界の闇を暴露する記事が掲載されている(漫画はやしろあずきさん作)