自社で工場を持たないから作りたいものが作れる

小口: 製造を発注する工場はいくつぐらい抱えているのでしょう。

甲斐: 常に動いているのは30ぐらいです。

山: 中国で開催される展示会で見つけることも多いです。

小口: 国が違うだけでも大変そうですが、別の工場に頼むとなると一から関係構築しなくてはならない。

甲斐: 私は中国語が話せるので、直接交渉しますけど、言葉が通じても話が通じない(笑)。品質面のボーダーラインが全然違いますし、向こうには向こうの文化があるのでそれを正していく作業が入ります。それが一番難儀なところで。

小口: 結構強気に出てくるとは聞きます。

甲斐: 向こうでは立場がフィフティフィフティなんですよ。

小口: お金をもらうほうが下ではない。決裂することもありますか?

甲斐: ありますね。「だったらやめる」が脅しじゃないこともあるので。その限界を見極めるのが難しいところです。

小口: コーヒー豆焙煎機の「ホームロースター」を作っている工場はポップコーンメーカーと同じ?

甲斐: 違います。別のポップコーンメーカーを作っている工場ですが、うちが買っているところではない。実は綿あめ機を作っている工場です。付き合いは長いんです。熱源とモーターを使った構造にも詳しかったので話を振ってみました。作りたい商品に応じて工場を選んでいます。

小口: 工場を持たないメリットは?

山: 自社の工場があると、その工場を生かさないといけなくなり、新しいアイデアが生まれにくい側面があると思います。工場を持たない分、アイデアとスピード感で勝負したい。ここ2~3年、中国の工場がAmazon(アマゾン)を通して日本に進出してきているので、自分たちで企画するものを増やしていかないと生き残っていけないと実感しているところです。

小口: 今後もアイデア製品を増やしていく。

山: 資金やリスクの面で限度はありますが、デザインしていても貿易していても、そちらのほうが楽しいとは思うので。

小口: ホームロースターや秒速トースターはデザインを黒で統一、「LITHON」のブランドロゴも入っています。よりブランド力を高めていこうと。

山: ピーナッツ・クラブ(ライソンの母体となった会社)のときは類似商品や価格重視の商品が多かったのですが、それだけでは色々限界が来ました。自分たちの商品を作っていこうとなった。それが会社を独立させた理由でもあります。

小口: ステージを上げるぞみたいな感じですね。とはいえバラエティーものも続けていく。

山: そうですね。意識高い製品ばかりだと疲れるんで(笑)。やっぱり気の抜けた商品を今までのお客さんが求めていますし。取り扱いジャンルは減らしたいという気持ちもありますが、どうしてもお客さんから要望があったりすると増やしてしまう。

甲斐: ついつい思いついちゃうんでね(笑)。

アイデアが製品化するかは社員のやる気次第

小口: 思いついちゃうのは、社員全員が?

山: ええ。会議のときにぽろっとアイデアが出たり、社員からメールが来たり。あとは、ホームロースターのときのように、お客さんにこんなの作れないかと言われることもあります。それらのアイデアに対して形になりそうなものから手を付けていく。これは実現できなかったですけど、タピオカがすごくはやっていたので、社員からタピオカミルクティーメーカーが作りたいというアイデアは出ましたね。

小口: 早くしないとブームが終わっちゃう(笑)。

山: チャーハンメーカーも、ずっとアイデアとしてはあります。パラパラのチャーハンをかき混ぜて作ってくれる。

甲斐: 構造的に複雑になりすぎるし、価格もだいぶ高くなってしまう。フライパン振ったほうが早いんで(笑)。家電はそこのさじ加減が難しいですね。

小口: 最終的な判断はやはり社長が決める。

山: それはそうですが、きちんとしたマーケティングもしないですし、開発のスタッフがやる気が出たら進んでいきますし、やる気が出なければ企画を出した人がやる気が出るまで進めていく(笑)。作れそうな工場が見つかれば動きますし、見つからなければそのままという感じですね。

小口: ゆるいというか、柔軟さが御社のスピード感を生んでいるんでしょう。本日はありがとうございました。

アウトドア用品にも力を入れており、ショベルカーが踏んでも壊れない「インペリアル クーラーボックス」が話題に
アウトドア用品にも力を入れており、ショベルカーが踏んでも壊れない「インペリアル クーラーボックス」が話題に
【意識低いポイント】「やっぱり気の抜けた商品も今までのお客さんが求めていますし」
「大阪らしい」というとステレオタイプの表現に過ぎるかもしれないが、クスっと笑えてネットで話題になるような芸風は強み。面白い思いつきがスピーディーにリアルな製品となる、しかも低価格で生産できる時代だからこそ、ライソンの存在感はさらに強まっていきそうだ。

(写真/小口覺)