ポップコーンメーカーから生まれたコーヒーの焙煎機

小口: 家庭用コーヒー豆焙煎機「ホームロースター」は、クラウドファンディングの「Makuake」では、目標金額の1809%、5428万円も集めました。一般販売価格でも2万円と、焙煎機としてはかなり安い。

2万円と低価格な家庭用焙煎機「ホームロースター」(左)と、アイデアのベースとなったポップコーンメーカー。熱風を当てながら作るポップコーンメーカーのように熱風で焙煎し、同時にチャフ(コーヒー豆の薄皮)を弾き飛ばして分離する機構を持つ
2万円と低価格な家庭用焙煎機「ホームロースター」(左)と、アイデアのベースとなったポップコーンメーカー。熱風を当てながら作るポップコーンメーカーのように熱風で焙煎し、同時にチャフ(コーヒー豆の薄皮)を弾き飛ばして分離する機構を持つ

山: 弊社で長く取り扱っているポップコーンメーカーを改造してコーヒー豆を焙煎している人たちが海外にいたそうです。コーヒー専門店の「ハマ珈琲」さんから、「(焙煎機を)作れませんか」と言われて1回テストしましたが、全然うまくいかなかった。僕らには焙煎の知識がなくて、必要なものが全く分かっていなかった。

小口: 結局焙煎には何が必要だった?

山: 最も必要だったのはヒーターの熱量です。結構、開発に2年ぐらいかかりました。できたときも本当に売れるのか全く分からなかったので、クラウドファンディングに出したということです。ペヤングのときも、それで反響を見ることができたので。

小口: クラウドファンディングの活用はいつから?

山: 18年に発売した「ジャンボわたあめ屋さん」が最初ですね。原宿やアメリカ村で特大サイズのわたあめが流行っていたので作りました。それまでBtoBのビジネスがメインだったので、お客さんからの応援コメントや、めっちゃ汚れるというクレームなどを直接聞けたのは非常に面白く新鮮でしたね。

直径30センチ以上の巨大わたあめが作れる「ジャンボわたあめ屋さん」。2018年、クラウドファンディング「Makuake」にて実施し、約147万円を集めた
直径30センチ以上の巨大わたあめが作れる「ジャンボわたあめ屋さん」。2018年、クラウドファンディング「Makuake」にて実施し、約147万円を集めた

小口: 「ホームロースター」は、ライソンさんにしては意識高い製品ですよね。ドンキじゃなくて、普通の家電量販店に置いてもらえそうな……我ながら失礼な物言いですが(笑)。設計とか大変だったんじゃないですか?

山: もちろん、製品の条件はこちらで決めますが、基本的には提携している中国の工場に投げっぱなしです。

小口: デザインも?

山: はい。「ホームロースター」の場合は、取っ手を付け足すなど使い勝手の部分は後から依頼しました。

甲斐: ポップコーンであれば3分でできるので問題にならないのですが、焙煎は時間がかかるので、その熱に耐えられるような素材や構造を採用する必要があります。それに、最後に組み立てるのも工場ですので、最初から向こうに考えてもらったほうが合理的です。

小口: なるほど。しかし、設計も向こうとなるとパクられ(まねされ)そうです。

山: おっしゃる通りです。日本人の細かい要求に耐えられる工場は数が限られていますので、そこに発注すれば類似製品がすぐに手に入る。すごいスピードでパクられるかもしれません。

小口: 今の時代のものづくりは、そういう世界なんですね。

直径10センチのたこ焼きが作れる「ギガたこ焼き器」。焼き上がるまでに20分以上かかるため、その隣で通常サイズのたこ焼きが作れるようになっている
直径10センチのたこ焼きが作れる「ギガたこ焼き器」。焼き上がるまでに20分以上かかるため、その隣で通常サイズのたこ焼きが作れるようになっている

(後編に続く)

【意識低いポイント】「最初から向こうに考えてもらったほうが合理的なんです」
一般的なメーカーではなかなか言えるセリフじゃないですよ、これ。アイデアに独自性があるからこそ、相手に任せられるのだろう。ファブレスの企業は増えていますが、ライソンが中国の工場とどう付き合っているかは後編で紹介します。

(写真/小口覺)