港区じゃなくて足立区だから光るエリアマーケティング

小口: 現在、税理士としてご活躍の田村さんですが、お仕事の面でもマーケティングを活用されていると見ました。“東京都足立区でいちばん気さくな税理士”というキャッチコピーもそうです。足立区で開業されたのは、エリアマーケティング的に?

田村: そうです。人脈もないので今の時代、ネットで集客しないといけない。税理士には、千代田区や港区、渋谷区で開業しようとする人が多いんです。

小口: ブランディングのためでしょうか。

田村: そうです、でも、そこで開業しても目立たない。最初に「渋谷区 税理士」などで検索してみたところ、めちゃめちゃ数が出るし広告も多いし、お金を払っても絶対に(検索順位で)上にこないなと思いました。足立区に住んでいたので、「足立区 税理士」でも調べたところ、検索結果は少ないし、どのホームページもイケてないように見えたんです。しかも、「足立区 女性 税理士」では、2人ぐらいしか出てこなかった。

小口: ニッチナンバーワンになれる。

田村: 足立区だと目立ちそうだし、ここで一旗揚げたら港区とかに行こうと思っていました。

小口: 足立区は面積も広いし人口も多そうです(2018年3月1日現在、人口は東京23区で5位)。

田村: 最初は、「何で足立区でやるの?」ってみんなに言われました。「電車に乗れば渋谷とかすぐ行けるのに」「足立区には企業が少ないでしょう」と。だけど調べてみると、中小零細企業はめちゃめちゃ多いんです。大企業はそもそも税理士を抱えているし、私みたいな個人にはお願いしないだろうと考えると、足立区は自分に最適だと思いました。スタートアップみたいな企業と一緒にやりたいという願望もありましたし。もちろん、最初お金も無かったので予算的な理由もありました。

 恋愛でも仕事でも、私が好きなのは、最初から完璧を求めずに、改良していくというやり方。「リーンスタートアップ」です。自分の感覚に自信がないので市場に判断してもらって、改良していく。コツコツ積み重ねていくほうが失敗は少ないですし。

小口: いきなり六本木のIT社長と合コンするのではなく、地元の友達つながりから始めよう、ですね。地元の縁は強いですからね。

田村: この本を出したときも皆さんに応援してもらいました。足立区の人は優しいです。まぁ、変な人も多いですけどね(笑)。結果、足立区は私にとって最高の場所でした。きっとこれからもずっと足立区に居座るんだと思います(笑)。

(撮影協力/センジュ出版[BOOK CAFE])

当記事は日経トレンディネットに連載していたものを再掲載しました。初出は2019年3月22日です。記事の内容は執筆時点の情報に基づいています