2018年9月5日、東京都立川市のショッピングセンター内に、ワークマンの一般向け店舗「WORKMAN Plus ららぽーと立川立飛店」がオープンした。11月上旬には首都圏に2号店を出店。さらに、100店舗まで増やす計画だという。店舗と商品を写真で紹介するとともに、常務取締役の土屋哲雄さんに、一般向け商品が生まれた背景を聞いた。
バイク乗りから釣り人、コスプレイヤーまで
WORKMAN Plus立川立飛店のロケーションはららぽーとの3階。同じフロアにはABC-MART、Right-onが店を構え、カジュアルウェアを求めるお客さんが流れてきやすそう。オープンした週末に訪れた筆者の知人によると、かなりの人で混雑していたそうだ。
販売されるのは、自社3ブランド(アウトドアウェアの「FieldCore」、スポーツウェア「Find-Out」、レインスーツ「AEGIS(イージス)」)が中心。日常着として使えるアイテムは、既存の店舗とかぶっているが、ユニフォームのような純粋なワークウェアは販売していない。
ワークウェアと一般のアパレルの境が曖昧になってきたこと、ワークウェア・用品をレジャーやファッションに採り入れられるようになったことが、一般向け店舗への展開へとつながった。
小口: 最初にワーキングウェアとしてではない売れ方をしていると気づいたのは?
土屋: 客層拡大商品の始まりは、「AEGIS(イージス)」シリーズを、バイク乗りの方が防寒着として買ってると気づいたのが最初です。店長が「どうも最近違う人が来ている」と。初めての人が多い、売り場を聞かれたとかで。それまで売り場を聞く人なんていないんですよ、常連ばかりなので。
担当編集・渡貫: 僕はバイクに乗るんですが、これは有名でした。バイクは転倒する危険性があるので、高いウェアを買って転んだらショックじゃないですか。ただ、有名になりすぎて、店に行っても私にピッタリのサイズは売り切れていましたが。
土屋: 相当売れてから、気づいたので。それで、バイク用のレインスーツや釣り用のレインスーツなども作るようになった。釣り用はストレッチ素材で竿を振るときの邪魔にならないし、水抜き用の穴を設けています。
小口: 防寒のジャケットなどは、種類が豊富で、冬場の通勤通学にも良さそうです。
土屋: 防寒の性能はかなり高いです。ユニクロさんは軽防寒ですが、我々は中防寒、重防寒。アルミ素材の入った中防寒のものでも、かなり暖かい。札幌でも、下は半袖のTシャツでいいと言われたぐらいです。
小口: 防水のものであれば、スキーやスノボでも行けますね。カラバリが意外と多いのですが、最初から多色展開だったんですか?
土屋: 最初は黒やグレーばかりで、差し色のグリーンが売れたので、増やしていった感じですね。
小口: カモフラ柄もかわいいじゃないですか。
土屋: カモフラはもともとワークの方でも人気があった柄ではあるので、引き続き取り入れています。AVIREXさんよりカモフラの種類は多いと思います。おもしろいのは、サバイバルゲームをやる人がうちに来てそろえることがある。最近ですと、コスプレする人も買われている。
小口: コスプレ?
土屋: 「はたらく細胞」とか。
小口: あー、なるほど!(「はたらく細胞」は細胞を擬人化したマンガでテレビアニメ化もされた。登場人物は作業着を着ている)
土屋: もっとすごいのは、高校の体育祭で使うんですよ。つなぎを買って応援団をやるとかで。なんで女子高生が買いにくるんだと店長が驚いていましたね。
小口: スポーツ、アウトドアブランドにとっては脅威でしょうね。
土屋: スポーツメーカーさんがうちのカタログ持っていって研究しているという話も聞きます。うちも、そろそろブランド名を登録しようと、「FieldCore」などを作ったのですが、普通はそうじゃないと言われましたね。最初にコンセプト決めてやるんだと(笑)。
失敗したほうが商品は良くなる
小口: プレスリリースには、ショッピングセンターにまず10店舗、さらに100店舗展開するとあります。
土屋: 11月1日に路面店の川崎中野島店、11月22日にららぽーと富士見店を開店します。3年以内にグレード感のあるショッピングセンターに20店舗、路面店で80店舗を出店していきます。
小口: ずばり勝算は?
土屋: 市場はありますから、まずは勝負できるかを見たい。逆にできるまで、商品を改善していきます。こけたら商品部を全部集めて反省会をやる。そうすれば良い商品になる。1年目から受けちゃうと社員が勉強しませんから。
当記事は日経トレンディネットに連載していたものを再掲載しました。初出は2018年9月27日です。記事の内容は執筆時点の情報に基づいています