素直にカッコイイと思えるデザインを

井下: 4つめの「デザインのドウシシャ」は、願望でもあるのですが、基本的にカッコイイもの、カワイイものを作ろうということです。

小口: デザインへのこだわりについては、この連載で意識高い系のひとつとして否定的に書いてきたのですが(笑)。

井下: あくまでも感覚的な話です。デザインが悪い必要性はないですから。カッコ悪いものは絶対に出すなよと言っています。ただ、会社としてデザインのガイドラインがあるわけではなく、個々のデザイナーが良いと思う、そして誰もが良いと思えるデザインを目安にしています。

小口: なるほど、理解しました。d-designの製品を拝見すると、すごくとがっているわけではなく、部屋に置いても違和感のないデザイン、ちょっとオシャレという印象を受けます。

井下: 奇をてらうようなデザインはやらないですね。

小口: これは個人的な感覚ですが、最近の自動車のデザインは凝りすぎてヘンな方向に行っている気がします。デザインを思想面で突き詰めた結果、その世界では評価されても一般には受け入れにくいものになっているのではと。意識高い系じゃなくて、普通の人や普通の部屋にちょうどいいデザインは大事ですね。

従来の概念を覆すデザイン

中込光輝さん(以下、中込): 扇風機も最初の製品からかなり進化しています。

小口: 三脚のような折りたたみの脚を備えたFシリーズはかなり独創的ですね。

中込: 扇風機は昭和のはじめから形が変わっていません。座敷に座った状態で使われていたため、操作部は台座にある。なぜか椅子の時代になった平成になっても、そのままの製品が多い。そこで、「kamomefan」では椅子に座ったままでも操作しやすいよう高い位置に操作部を付けました。加えて、収納しやすいよう軽量化や小型化にもこだわっています。

小口: 扇風機は意外とオフシーズンの収納に困りますからね。収納といえば、この平べったくなる「DCフォールディングファン」は画期的ですね。これで首振り機能も備えているとは。

中込: おそらく6.6cmは世界最薄で、押し入れやちょっとした隙間に収納できます。これは部内のプロダクトデザイナーのアイデアです。「これはいい、やろう!」となったのですが、実際に製品にするには難儀しました。

 扇風機は吸気と排気、そして風道の組み合わせで風の流れを作ります。薄くすると風が作りづらい。最初は、風が全然出ないところからのスタートです。結果、羽根とモーターを一体化させた特殊な羽根を作ることで風量を確保しました。

小口: 「kamomefan」の羽根とは違うんですね?

中込: より薄くて風が出る羽根を独自に開発しました。今年からは新たに開発した13枚羽根でより風量を大きくしました。まだまだ新しい羽根も開発中です。

折りたたみ時に薄さ6.6cmになる「DCフォールディングファン」
折りたたみ時に薄さ6.6cmになる「DCフォールディングファン」