2019年中の日本上陸を表明したMaaSグローバルCEOのサンポ・ヒエタネン氏。先駆者はMaaSのビジネスモデルをどう描いているのか。日本総合研究所 創発戦略センターの井上岳一シニアマネジャーによるインタビューの後編をお届けする(「19年初上陸 MaaSグローバルCEOが語る日本戦略」)。
井上岳一氏 2019年3月末、MaaSグローバルが展開するMaaSアプリ「Whim(ウィム)」の18年1年間のヘルシンキにおける利用実績の分析リポート「WHIMPACT(ウィムパクト)」が公表されました(関連記事「【速報】MaaSアプリ『Whim』の導入効果 意外な3つの事実が判明」)。
このレポートを一読して、①高齢者が想定以上にWhimを使っていること ②Whimの利用者は公共交通の利用率が高いこと ③タクシーや自転車シェアリングを公共交通と組み合わせて使う人が多い傾向があること。この3つが特に印象的でした。
一方で、マイカー利用に与えた影響などは読み取れませんでした。そもそもWhimを使う前と後のビフォーアフターの比較がないので、Whimの導入効果を推し量ることが難しいレポートでした。
サンポ・ヒエタネン氏 最初に申し上げておきたいことは、このレポートは本当に初期のデータに基づくもので、Whimユーザーとの比較に使ったデータも不完全なものだということです。Whimの本格展開は17年11月に始まったばかりで、Whimの導入効果に関しては確定的なことはまだ何も言える段階にありません。
それに私たちはリサーチ機関ではありませんから、収集できるデータにも限界があります。確かにビフォーアフターのデータは欲しいところですが、「当社のサービスを使ってください、その前に調査に参加してください」とは、なかなか言えないですよね。
なるほど。例えば、WHIMPACTで紹介されているヘルシンキの平均的市民とWhimユーザーとの比較表を見ると、ヘルシンキの人の自転車+徒歩での移動の割合が43.6%と、とても高いですね。公共交通も47.6%と高いです。一方で、自動車は7.3%にすぎません。対するWhimユーザーは73.1%が公共交通、自動車は3.4%、徒歩+自転車が20.4%です。
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