米アマゾン・ドット・コムが利用者数を増やす一方で、カメラ量販店もネット通販を拡充し、ポイントサービスや配送の速さで対抗している。ビックカメラは、大阪に新たな拠点を立ち上げ、棚の搬送ロボットを導入するなど、より早く届けるための物流インフラ強化に取り組んでいる。

千葉県船橋市にあるビックカメラの物流拠点では棚を搬送するロボットを導入した。注文のあった商品をピックアップする作業の負荷を低減できる
千葉県船橋市にあるビックカメラの物流拠点では棚を搬送するロボットを導入した。注文のあった商品をピックアップする作業の負荷を低減できる

 ビックカメラグループのネット通販売り上げ予測は2019年8月期で1000億円超で、前期の864億円から約2割の伸びと見込む。「ネット通販の比率は全体の中で約10%。店舗での販売と比較すると大幅に伸長している」とビックカメラ物流本部物流企画部長の畑岳一郎氏は分析する。ネット通販の需要の高まりと、物流業界の労働力人口の減少を踏まえれば「今、力を入れて物流網を強化しなければ5~10年後は成り立たない」と見る。

午後3時までの注文で当日配送

 再開発が進む千葉県船橋市の南船橋駅前。家具販売大手イケアの店舗を横目に進むと、左右に多階層にわたるロータリーを持つ巨大な建物が見えてくる。三井不動産が16年に竣工した「ロジスティクスパーク船橋I」だ。この1~3階部分、約6万2000平方メートルをビックカメラがネット通販や店舗向けの物流拠点として使用している。

ビックカメラが物流拠点としている千葉県船橋市の「三井不動産ロジスティクスパーク船橋I」
ビックカメラが物流拠点としている千葉県船橋市の「三井不動産ロジスティクスパーク船橋I」

 ビックカメラのネット店舗では家電、日用品、医薬品など約130万点を販売している。これまでは、ネット店舗で受けた注文の全国配送を、船橋の倉庫が手掛けていた。18年10月からは大阪府堺市にネット通販専用の物流拠点「大阪ECセンター」を新設し、西日本エリアの配送をカバーしている。高まるネット通販の需要に対処し、「顧客に届けるまでのリードタイムを短くする」(畑氏)。大手宅配事業者が荷受けの総量制限をしていることや災害時にサービスを維持しやすいといった点も考慮した。

 宅配危機の根源である「再配達」を減らし、顧客への満足度を高めるための施策として重視するのは「早く届ける」こと。東京23区や千葉県市川市などで午後3時、横浜市やさいたま市などで午前11時までの注文で、当日配送に対応している。新拠点を立ち上げた大阪の一部地域でも、午後1時までの注文で当日配送に対応した。

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