リブランディング特集の6回目は、「ベビースターラーメン」と「ブラックサンダー」を取り上げる。「駄菓子」としての圧倒的なブランド力を生かし、減少する子供向けの市場だけでなく、企画力で大人向けにも売り込む。

おやつカンパニーの「ベビースターラーメン」には業務用に発売した500グラムの大容量パッケージがある(写真中央)。通常は23~74グラムなので、その巨大さが分かる
おやつカンパニーの「ベビースターラーメン」には業務用に発売した500グラムの大容量パッケージがある(写真中央)。通常は23~74グラムなので、その巨大さが分かる

 ポリポリとした食感が楽しい「ベビースターラーメン」のおやつカンパニー(津市)と、ザクザクとした歯ごたえの「ブラックサンダー」で知られる有楽製菓(東京・小平市)。いわゆる「駄菓子」として強力なブランドを持つ菓子メーカーの両社が、大人向けの製品を提案して新しい市場を開拓しようとしている。おやつカンパニーは2018年4月からベビースターラーメンを料理用の食材として回転ずしや居酒屋などに売り込んでおり、業務用の大容量パッケージを用意している。ブロガーとも手を組み、ベビースターラーメンを使った家庭料理のレシピも開発中だ。

 一方の有楽製菓は、18年3月にカルビーのグラノーラ「フルグラ」(フルグラはカルビーの登録商標)とコラボした「フルグラサンダー」を発売した他、同年11月には京都の老舗と共同で京都らしい抹茶を使った地域限定品の「京都ブラックサンダー」を開発して大人気となった。いずれも背景には少子化の影響があり、子供や若い人だけでなく、幅広い層にアピールしたいという思惑がある。駄菓子としての軸足を維持しつつも、どう発展させるか。各社の狙いは、それぞれ異なる。

おやつカンパニーと有楽製菓のアプローチの違い
おやつカンパニー
「ベビースターラーメン」を料理用の食材として売り込みたい。業務用の大容量パッケージを用意して飲食店のメニューとして提案したり、ブロガーを巻き込みながら家庭用のレシピコンテストを開催したりして、新しい食べ方をアピールしている。

有楽製菓
「ブラックサンダー」を幅広い層に売り込みたい。ヘルシーなイメージがあるグラノーラと組み合わせたり、洋酒を使った大人向けの製品を企画したりした。京都土産を狙って高級抹茶を配合した製品も開発し、京都駅前に専門店もオープン。

おやつカンパニー、ベビースターラーメンが軍艦巻きに

 19年4~5月、元気寿司は新たなキャンペーンを実施し、運営する回転ずしの「元気寿司」「魚べい」といった店舗で、今までにないメニューを提供した。サーモンの握りやコーンを載せた軍艦巻きにベビースターラーメンをトッピングした「ベビースターサーモンマヨ」や「ベビースターコーン」だ。食べてみると酢飯とベビースターラーメンのチキン味がマッチし、ポリポリとした食感もいい。他にもベビースターラーメンが入ったアオサスープなどがある。

 これらは元気寿司とおやつカンパニーがコラボして開発したメニュー。4~5月のキャンペーンはいったん終了したが、好評だったため期間を延長。5月25日から6月2日まで、人気メニューを継続すると発表した。ベビースターラーメンをかけた大盛りのチーズポテト、ベビースターラーメンを入れた茶わん蒸しに加え、追加用の「追いベビースター」もメニューに加えるなど、新しい食材として期待している。

元気寿司はキャンペーン期間中、ベビースターラーメンとコラボした寿司を提供していた
元気寿司はキャンペーン期間中、ベビースターラーメンとコラボした寿司を提供していた
写真はコーンやマヨネーズの上にベビースターラーメンを載せた軍艦巻きと、ベビースターラーメンを入れたアオサスープ
写真はコーンやマヨネーズの上にベビースターラーメンを載せた軍艦巻きと、ベビースターラーメンを入れたアオサスープ

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