リブランディング特集4回目はショウワノートとコクヨだ。それぞれのロングセラー商品「ジャポニカ学習帳」と「キャンパスシリーズ」を大人向けにしたノートを製品化したが、ショウワは大人の女性を、コクヨはビジネスパーソンを狙うなど考え方が分かれた。

「大人のジャポニカ学習帳『愛されつづける名作シリーズ』」。作者や作品の紹介、名場面、名言など、作品の魅力がつまった読み物ページが付属し、単なるキャラクターグッズではなく、作品世界に入り込む入り口となる
「大人のジャポニカ学習帳『愛されつづける名作シリーズ』」。作者や作品の紹介、名場面、名言など、作品の魅力がつまった読み物ページが付属し、単なるキャラクターグッズではなく、作品世界に入り込む入り口となる

 子供向けのノートを大人向けにブランディングし直して販売する文具メーカーが増えている。少子化で子供の数が減少するなか、新たな市場を開拓するためだ。ショウワノート(富山県高岡市)は子供向けのノート「ジャポニカ学習帳」を大人向けに企画した製品を投入している。2018年3月に「大人のジャポニカ学習帳『愛されつづける名作シリーズ』(以下、名作シリーズ)」を発売。19年2月には文具卸のエムディーエスとのコラボレーション製品「オトナジャポニカ」を発売した。狙っているのは、かつてジャポニカ学習帳で学んだ大人たち。かつてのユーザーが大人になった今でも、ものを知る喜びや学びに対する意欲といった子供の頃の体験を思い出してもらい、大人にも使えるノートにした。

 一方、コクヨが狙うのはビジネスパーソンだ。学生向けが中心の「キャンパスシリーズ」を、黒い表紙にすることで「大人キャンパスシリーズ」として15年に発売。アイデアを広げたり企画を練ったりとさまざまな使い方に合わせて、方眼罫(けい)、無地、ドット入り罫線の3タイプを用意している。価格も学生向けより高くでき、500~1000円前後の製品もある。

ショウワノートとコクヨのアプローチの違い

ショウワノート
大人の女性を狙う。「ミッキーマウス」「ミッフィー」「ムーミン」「スヌーピー(ピーナッツ)」などを表紙にした「大人のジャポニカ学習帳『愛されつづける名作シリーズ』」では、それぞれの作品についての知識や魅力を、ジャポニカ学習帳のように読み物として掲載した。

コクヨ
「大人キャンパスシリーズ」としてビジネスパーソンを狙うため、表紙は黒、ネイビーブルー、グレーにした。会議や商談の内容を書き留める他、クリエイティブなアウトプットを生み出すための道具としても使えるよう、ビジネスユーザーに応じた罫線のバリエーションをそろえた。

ショウワノートは、女性が喜びそうなキャラクターをモチーフに

 ジャポニカ学習帳は、1970年に発売されたロングセラー。小学生の勉強向けに特化し、「国語」「算数」などの教科ごと、さらに1年生から6年生までの学年ごとに細分化され、使いやすいように工夫されている。表紙をめくると「アフリカの生き物」など4つのテーマの学習百科があり、裏表紙には表紙の写真にまつわる学習図鑑がある。子供たちが世界中の自然に親しみを持ち、知識を広げる工夫が込められている。

 大人の女性をターゲットにした名作シリーズでも、ジャポニカ学習帳のスタイルを踏襲。さまざまな知識を得られるようにしている。例えば名作シリーズには「ミッキーマウス」「ミッフィー」「ムーミン」「スヌーピー(ピーナッツ)」など、世界中で愛されるキャラクターを表紙にしているが、単なるキャラクターグッズではなく、それぞれの作品についての知識や魅力を、ジャポニカ学習帳のように読み物として掲載。ページをめくると新たな知識に出合える。B5版(180円、税別、以下同)とA5版(480円)の2サイズがある。A5版は「おじいちゃんのノート」として話題になった中村印刷所との共同開発で、水平に開けるのも特徴。販売数量は非公表だが、順調に推移している模様だ。

 オトナジャポニカには、ジャポニカ学習帳のような知識は掲載していないが、表紙を大人向けにデザイン。大人の持ち物として恥ずかしくない知的なシンプルさと、かつて使っていた小学生の頃を思い出す懐かしさを表紙のデザインに込めた。

「オトナジャポニカ」の「シロ」と「ピンク」。A5サイズとセミB5サイズの2サイズがあり、希望小売価格はそれぞれ240円と200円。用紙は方眼と横罫の2種類がある
「オトナジャポニカ」の「シロ」と「ピンク」。A5サイズとセミB5サイズの2サイズがあり、希望小売価格はそれぞれ240円と200円。用紙は方眼と横罫の2種類がある

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