パロアルトインサイトCEO(最高経営責任者)の石角友愛氏とCTO(最高技術責任者)の長谷川貴久氏が、次のトレンドを予測する連載。今回は特集『未来の市場をつくる100社』の特別編として、米国西海岸を中心とする注目のスタートアップについて分析してもらった。

米国では18歳になるまで銀行口座を持てないが、スタートアップ企業のステップはティーンエイジャー向けモバイルバンキングアプリを開発し、注目を集めている
米国では18歳になるまで銀行口座を持てないが、スタートアップ企業のステップはティーンエイジャー向けモバイルバンキングアプリを開発し、注目を集めている

 米国西海岸を拠点とするスタートアップの中で、数年前から注目しているのがステップだ。13歳から18歳を対象にしたティーン専用のモバイルバンキングアプリを提供して、話題を集めている。

 米国では通常、18歳になるまで銀行口座を持つことができない。そのためキャッシュレスが進むこの国でも、ティーンエイジャーたちは現金でお菓子やコーヒーを買っているのが実情だ。とはいえ親の立場で考えると、多くの現金を持ち歩いてほしくないので、子どもにお小遣いをあげる適当な方法が見当たらないという問題もある。

 ステップは、こうした未開拓のセグメントに注目してモバイルバンキングアプリを開発した。同アプリを活用し、若いうちからフィナンシャルリテラシーを身につけて、返済負担率や利子などに関する知識を実体験に基づき学ぶことは、大学に進学した後に大事になってくると、ステップのCEO(最高経営責任者)は考えている。

 通常のモバイルバンキングとの違いは、ユーザーから一切、手数料を徴収しないことだ。ステップを通してステップカードというデビットカードが発行され、ATMでの引き落としやオンラインでの購入も可能。マスターカードと提携しているので一般的なカードと同様に買い物ができ、友人間で送金するのもアプリをワンクリックするだけだ。

 米ペイパル傘下の米ベンモは、ステップと同じように手数料なしで簡単に友人間で送金できるアプリを提供し、浸透している。だが、この手のサービスでは、銀行口座を既に持っていることが前提となることが多い。口座がなくても利用できるステップは、ティーンに特化したサービス展開とマーケティングがライバルに対する強みになっている。

 同社は「ステップスクアッド」という学生向けのリファーラル(紹介)プログラムをローンチしている。これは、ステップを友人に紹介するとお金がもらえるというもの。このような仕掛けはペイパルや中国アリペイがローンチした際にも使われたが、ステップの人気はそれに勝る。招待制となっているステップを使いたい人たちのウェイトリストは、ローンチ後の数カ月で50万人に達しているというから驚きだ。

※(新しい市場を生み、消費にインパクトを与える技術やサービスのリストを次ページに掲載)

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