スキパニ体操とチャーミングさで健康を打ち出す

 こうした背景から、19年度の新しい企業CMでは「健康」を前面に打ち出すことに決まった。問題はどのようにして健康面を表現し、消費者の心に刻み込むかだ。

 そこで新CMでは、「心と体の両軸で健康になってもらいたい」(石田氏)という思いからダンスと表情体操を取り入れた。振り付けは、Perfumeや16年にTBSドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』のエンディングで大ヒットした“恋ダンス”の振付師であるMIKIKO氏に依頼。「よりキャッチーな動きで印象に残すため」(石田氏)というのがその理由だ。

 “体操”そのものは大きく腕を動かす動作で、肩こりにも効果的。また面白い動きをすると、元気かつポジティブにもなるという。この動きだけでも視聴者の目を引くが、音楽に人気ユニット「水曜日のカンパネラ」のケンモチヒデフミ氏を起用し、より強いインパクトを与えた。

 仕上げはCM最大の謎ともいえる「スキパニ」という“呪文”である。これは早稲田大学で笑顔を研究する笑顔研究の第一人者、菅原徹氏(スマイルサイエンス学会代表理事)が提唱する「ウンパニ体操」に由来する。「ス」「キ」「パ」「ニ」と大きく表情を作りながら繰り返し唱えることで、表情筋が鍛えられる。これによって、笑顔を作りやすくなるという。

 軽快な音楽に合わせてスキパニスマイルを4回繰り返すと、顔も肩甲骨もほぐれて気持ちまで楽になってくる。社内で行えば、笑顔の連鎖が起きそうだ。

レッツ・スキパニ!(江崎グリコHPより)
レッツ・スキパニ!(江崎グリコHPより)

 残るはキャラクター、誰にこの体操を“躍らせるか”だ。今回、同社のCMキャラクターから、なぜ綾瀬はるかを選んだのか? 石田氏は広く浸透する綾瀬の人気を挙げる。

 「商品CMと違い、企業CMはオールターゲットに向けて企業のイメージアップを図るもの。いかに分かりやすく伝えるかが大切で、綾瀬さんは性別や世代を問わず人気があるので適任と判断した。笑顔もキュートで、彼女以外に思い浮かばなかった」(石田氏)

 綾瀬と江崎グリコの縁は深い。07年からジャイアントコーンのCMに出演し、前述のグリコワゴン日本縦断にも参加している。14年には道頓堀のネオンサインの工事中、ゴールインマークの代役を務めたこともあった。綾瀬起用の背景には、こうした過去の実績から「信頼感が大きかった」(石田氏)こともある。

 CMの見せ場は、約400人の従業員と共に“体操”する圧倒的な迫力。「従業員も笑顔にしたいという思いから、すべての部署を対象に立候補と推薦によって出演者を決めた。休日出勤で1日掛かりの撮影だったが楽しんでもらえ、部署間の親睦も図れる機会になった」と石田氏は振り返る。

 企業CMでは珍しく、消費者に動画投稿を呼びかけた。スキパニ体操の動画をSNSで投稿してもらい大賞を決めるというもので、個人から学校単位まで応募があり、大きな反響があった。

工場での撮影では綾瀬も赤い作業服を着用した
工場での撮影では綾瀬も赤い作業服を着用した