ファンケルのサプリメント「健康数値サポートシリーズ」がWeb動画という新たな試みを展開した。テレビCMを出稿する製品以外のプロダクトを含んだシリーズ横断的な内容で認知向上を狙った。ターゲット層と同年代の吉田鋼太郎と佐藤二朗を起用し、広告要素を排除したコミカルな“2人芝居”が話題となり、売り上げにも貢献した。
CM出稿している製品以外もアピール
“不健康はほっとけない”ニュースキャスターの「吉田健康太郎」に扮(ふん)した吉田鋼太郎は、その年の最もぽっちゃりしたおなかが似合う「ベストぽっちゃリスト賞」を佐藤二朗が受賞したというニュースを紹介する。
タキシード姿の佐藤がおなかのぽっちゃりしたブロンズ像を持ちながら感涙する記者会見が流れた後、吉田による独占インタビューが始まる。ぽっちゃりをキープする秘訣を聞く吉田に、「とりあえず、ほっとく」を繰り返す佐藤。「健康数値や周りからのややこしい声、鏡に映った自分の姿も」すべて気にしないと豪語する佐藤に対し、吉田は「高めの数値をほっとくなどとは、人生の後半戦としては無謀すぎる! あり得ない!」と糾弾する。
旗色の悪くなった佐藤が「鋼ちゃんさぁ……」と呼びかけるも、「誰が鋼ちゃんなんだ、先輩だぞ」と一喝。さらに「大人の魅力は健康的に年を取ること。高めの体脂肪率、血圧、尿酸値、これらの数値はほっとかない!! これが私のニューノーマルです。ちなみに今日は、ここまではだしにふんどしで走ってきました」と言えば、「それ、ニューノーマルじゃないよね。アブノーマルだよね」と突っ込む佐藤。その後も自身の“大人の色気”をさまざまなポーズで誇示する吉田に圧倒されっぱなしの佐藤はついに「ぽっちゃりはほっとかない」宣言をする。
“2人芝居”が終わるとLINE公式アカウントへの登録を視聴者に促し、「健康数値サポートシリーズの提供でお送りしました」とスポンサー紹介風のナレーションとともに製品一覧を見せる。
2人アドリブを存分に取り入れたこの動画は、2020年12月にYouTube上で公開。フルバージョンで4分49秒という、YouTube上のPR動画では珍しく長編であるにもかかわらず、クリック数・視聴率・完全視聴率が想定以上だったという。この動画内に製品が登場するのは最後だけ。大半は2人の掛け合いで、製品名すら出てこない。
ファンケルはこの動画を公開した意図を、「テレビCMを流している製品だけでなく、健康数値に着目したサプリメントがいろいろあることをアピールしたかった」と説明する。同社の中高年向けサプリメント「健康数値サポートシリーズ」で現在CMを流しているのは、高めの血圧が気になる人向けの「血圧サポート」と、体重・体脂肪を減らす「内脂(ないし)サポート」の2種類だけ。いずれも需要が高く市場も大きい。
一方シリーズには他にも「血糖サポート」「中性脂肪サポート」「尿酸サポート」があるが、認知度は上記の2商品ほど高くはなかったという。そこで、コロナ禍で健康意識が高まっていたこともあり、横断的に楽しみながらシリーズを知ってもらうため、キャンペーンとしてエチュード(即興劇)風Web動画による認知向上を狙った。
吉田と佐藤はそれぞれ血圧サポートと内脂サポートのCMに出演しているため、2人を共演させることになった。
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