コーセーコスメポート(東京・中央)のヘアケアブランド「ジュレーム」の「リラックス」シリーズの新ミューズに就任した田中みな実。就任発表前には同社のSNSにティザー出演してファンの期待感を醸成、テレビCM放映後に大きな反響を得た。美容系インフルエンサーとして、女性への影響力は絶大だ。
エントリー層に向けて大リニューアル
テレビCM「ジュレームリラックス『バスルーム篇』」では、柔らかい光の中、リラックスムードでジュレームリラックスを使って生まれ変わった自分の髪に満足げな表情を見せる田中みな実。一方、Webムービー「ジュレームリラックス 田中みな実髪のヒ・ミ・ツ」では、美容への知見や経験に基づき、製品に対する素直な感想を述べる。美容系インフルエンサーとして今や確固たる地位を築いた田中で狙うのは、ブランドの若返りだ。
コーセーコスメポートのヘアケアブランド「ジュレーム」は、同社のヘアケアブランドでは高価格帯のプレミアムライン。2013年に誕生し、21年で9年目を迎えた。化粧品と比べて買い回りが多くロイヤル化しづらいシャンプーなどのヘアケア剤は、ブランドの衰退が激しく生き残るのは至難の業。そうした中、プレミアム価格帯で勝負したジュレームは、上質なものを好む女性の支持を集め、息の長いリピーターが多いのが特徴だ。発売以来のブランド累計出荷数は1億個を超えている(13年2月~20年12月)。
16年に発売した「ジュレーム リラックス」は、用途ごとに複数のブランドラインが広がる「ジュレーム」シリーズの1つ。髪質に悩みを抱える人に向けて、特に髪のまとまりに着目して開発された。ジュレームブランドとしてはエントリー層となる20~30代のいわゆる“アラサー”が主なターゲットで、その他のシリーズ同様根強いリピーターを獲得してきた。
しかし、ブランドの歴史が長くなれば、それに連れて顧客の年齢層も上がる。実際、ジュレーム リラックスの最近の実売層は30代後半が多いという。“上質なヘアケア剤”という確固たる存在感を築く半面、「使ったことのない人からは『シャンプーにしては高い……』と価格面で忌避されがち」と、コーセーコスメポート宣伝部の溝上和江氏は課題を明かす。
そこでジュレーム リラックスは21年3月に大型リニューアルを実施。生産量が限られ希少性の高いと言われるオーガニックマヌカはちみつを使用し、さらに髪をまとまりやすくした。加えて、髪質の悩みごとに「ストレート&スリーク」(うねりやくせ)、「ソフト&モイスト」(パサつき)、「エアリー&スムース」(からまり)の3タイプに分け、それぞれ異なる洗浄成分を配合する製法でコーセーの本気を示した。
リニューアルのタイミングで新たなミューズに就任したのが田中だった。ジュレーム リラックス以外の「ジュレーム アミノ シュープリーム」「ジュレーム アミノ アルゲリッチ」「ジュレーム ファンタジスト」シリーズでは、13年以来同じ男性タレントがCMキャラクターを務める。なぜ、ジュレーム リラックスに田中を追加起用したのだろうか。
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