奇抜なCMを次々繰り出す日清食品の「カップヌードル」が、何やら“落ち着いた”CMを流している。お笑いタレントのおぎやはぎを起用した、工場の安全性やエコカップを訴求する「DO IT NOW!」シリーズだ。環境への取り組みや品質管理を伝える企業メッセージは、企業目線ゆえに視聴者には届きにくく、ともすれば“自己満足”と受け止められがちだが、絶妙ないじりで伝えている。
聞こえのいいことは届きづらい
日清食品関西工場のカップヌードル製造ラインを見学する、おぎやはぎの2人。工場のスタッフから、この工場の不良品発生率が100万分の1以下と聞いてびっくり。「もう、ゼロって言っちゃえば? めんどくせぇから。俺なら2分の1でもゼロって言っちゃうけどね。で、炎上しちゃえばいいんだよ、俺みたいに」と小木博明にそそのかされ戸惑うスタッフ。矢作兼のフォローでなんとか切り抜ける。
カップヌードル「DO IT NOW! ファクトリー篇」は、2019年に完成した日清食品最大かつ最新鋭の関西工場の安全・品質管理がいかに徹底されているかを伝える。同工場は1日最大400万食、年間最大10億食のインスタントラーメンの製造能力を持ち、食品工場としても国内最大級だ。IoTを活用した最新システムで、世界最高水準の安全管理を行い、不良品発生率は100万分の1以下を達成している。日清食品によると、ロケット打ち上げ安全基準よりも高い安全性だと言う。
工場内には700台の品質管理カメラを設置するほか、麺生地の汚れや金属探知など15のチェックポイントで全数検査を実施。カメラの映像と検査データはサーバーに保存され、問題発生時にはすぐに追跡できる。さらに無人化も徹底している。自動倉庫や自動搬入車両、自動開梱ロボット、具材の自動投入システム、カップの自動準備システムなどの導入で、これまで人が担っていた確認・検査・資材の移動を自動化し、ヒューマンエラーのリスクを軽減させた。衛生管理は工場内を準清潔区、清潔区、高度清潔区の3つに分けて、外部からの異物持ち込みや虫などの侵入の危険性を抑える。
これらの情報をCMでストレートに伝えず、あえておぎやはぎに“いじらせた”のは、「企業メッセージは聞こえのいいことを言いがちだが、それだと企業の自己アピールにしか捉えられないから」と日清食品ホールディングスの米山慎一郎宣伝部長は話す。
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