サントリー食品インターナショナル「GREEN DA・KA・RA やさしい麦茶」のキャラクター少女のムギちゃんことなぎさちゃんが、海岸に倒れている佐藤二朗を持ち上げ、あちらこちらへ持ち運ぶ――。訴えているのはペットボトルリサイクルだ。消費者に正しいリサイクル行動を促す目的にしては何ともシュールな映像。ムギちゃんと佐藤という異色コンビ誕生の裏側と、動画制作の狙いについて聞いた。

ムギちゃんを演じるなぎさちゃんと佐藤の意外ながら絶妙なカップリング
ムギちゃんを演じるなぎさちゃんと佐藤の意外ながら絶妙なカップリング

リサイクルペットボトル全面導入のブランドで伝える

 ペットボトルのキャプを模した黄金のシルクハットをかぶり、海岸に倒れている佐藤二朗を見つけたムギ(なぎさ)ちゃん。どうやら佐藤には行きたい場所があるようだが、一歩も動けないらしい。そこでムギちゃんは小脇に軽々と佐藤を抱えたまま、“目的地”を探して海辺の街を歩き回る。疲れてベンチに座っていると、突然の風に吹き飛ばされてしまった佐藤。ムギちゃんがやっとの思いで佐藤を見つけた場所は公園。滑り台に挟まれ、動けなくなっていた‥‥‥。しかし“目的地”はそこにあった。苦労の果てにたどり着いたのは、リサイクルボックスの前。ムギちゃんが気づくと、佐藤は空っぽの「GREEN DA・KA・RA やさしい麦茶」のペットボトルに変わっていた――。

 この2分足らずのペットボトルリサイクル啓発動画は、2021年4月12日にサントリーのYouTube公式チャンネルで公開された。これ以外に、35秒のアド広告も配信する。サントリーは30年までにグローバルで使用する全ペットボトルの100%サステナブル化を掲げている。ペットボトルの素材をすべてリサイクル素材と植物性由来素材に切り替え、化石由来燃料の新規使用はゼロにするという。

 同社は使用済みペットボトルを新たにペットボトルにリサイクルする「ボトルtoボトル(BtoB)」を推進している。再生PET樹脂の使用量を100%まで引き上げた、100%リサイクルペットボトルを「サントリーウーロン茶」「伊右衛門」2リットルペットボトルなどの商品の一部に導入してきた。21年4月には「GREEN DA・KA・RA やさしい麦茶」ブランドのパーソナルサイズで全面導入することになり、BtoBのフラッグシップブランドとして、啓発メッセージをWeb上で発信することにした。

 今回の動画の狙いは、消費者にサントリーがBtoB活動を行っていることと、「空になったボトルはリサイクルボックスに捨てる」という正しいリサイクル行動を浸透させること。「家ではきちんと分別している人が、外ではその意識が低くなりがち」(サントリー食品インターナショナル)だからだ。

 BtoBの取り組みには、再生PET樹脂の原料となるペットボトルの回収が不可欠だ。そこで、今飲み終わったペットボトルこそが新しいペットボトルとして循環するのだということを分かりやすく伝えるため、100%サステナブル素材のリサイクルペットボトルを「またあえるボトル」と名付け、親近感を抱いてもらえるようにした。

 「お客様が分別して捨てる行動があってこそ成り立つ取り組みだが、“ボトルtoボトル”という言葉だけでは、届きづらく自分事化につながらない。普段何気なくやっている行為こそが重要なのだと伝わるように、気持ちが動くような言葉を付けた。リサイクルボックスは“またあえる”ための装置なんだということが伝わるよう工夫した」と、同社コミュニケーション本部の細見洋平氏は話す。

「またあえるボトル」のロゴも擬人化され、サステナブルな素材であることを親しみをもって伝える
「またあえるボトル」のロゴも擬人化され、サステナブルな素材であることを親しみをもって伝える

 「またあえるボトル」第1弾ブランドの代表としてムギちゃんの起用は納得だが、なぜ佐藤とのペアリングに至ったのか。