哀川翔と手越祐也が上司と部下を演じる、10万社以上が利用するワンストップのヒューマンリソースシステム「ジョブカン」のCMは、掲載メディアをWebやタクシー車内を中心に据え、認知に加え拡散にも軸足を置く戦略を選んだ。元テレビマンの制作陣の狙いとは。そして2人を起用した理由とは何なのか。

「ジョブカン」のイメージキャラクターを務める哀川翔と手越祐也。共演は初めての2人だが“ジョブカンポーズ”の息もぴったり
「ジョブカン」のイメージキャラクターを務める哀川翔と手越祐也。共演は初めての2人だが“ジョブカンポーズ”の息もぴったり
今回のキャラクター:哀川翔、手越祐也
■企業:Donuts
■サービス:ジョブカン

<クリエイターズファイル>
■プロデューサー:西村啓成
■アシスタントプロデューサー:青木良憲(Donuts Creative)
■クリエイティブディレクター:西村啓成
■ディレクター/脚本/監督/編集:井上尚也(Donuts Creative)
■制作進行:山口元基(SEP)
■メイキング撮影・編集:Donuts Creative
■演出補:高埜聖(Donuts Creative)、森俊輔(Donuts Creative)
■撮影:赤平勉(インフ)
■美術:杉山智之(アックス)
■制作:Donuts Creative

元テレビマンが手がける“手弁当CM”

 CMの冒頭に「ジョブカン!」の声に合わせて体をのけぞる“ジョブカンポーズ”を決める哀川翔と手越祐也。場面は社内に移り、決裁書類に追われる人事部長の哀川を「うわ、ダッサ!」とばかにしながら見ている部下の手越。入社書類、マイナンバー申請、雇用保険の手続き、社員の結婚、依願退職に年末調整……。次々に舞い込む案件にいよいよ追い込まれた哀川は、「テゴちゃん、助けて♡」と、助けを求める。そこで手越は「労務管理ならジョブカンっしょ!しかもゼロ円から」と、管理システムの「ジョブカン」ならさまざまな手続きが一括管理できることをアピール。チャラいながらもやり手の部下が差し伸べた救いの手で、難を逃れた哀川部長なのであった。

「手越!俺を助けろ」篇

 リリースから10年がたつジョブカンは、勤怠管理、経費精算ワークフロー、労務管理など多岐にわたる複雑なバックオフィスの業務が一括管理できるシステムで10万社以上が利用している。「他社では外部サービスとの連携や複数のIDが必要なことも多い。ワンストップで解決できるのは大きな競争力」と、ジョブカンを運営するDonuts(東京・渋谷)の代表取締役でプロデューサーでもある西村啓成氏は語る。

 その一方でアシスタントプロデューサーの青木良憲氏は、「今後、他社も(ワンストップシステムに)追随してくるだろう。どう差別化するかが命題。CMも他社とは違う見せ方をする必要がある」と、競合の多いHR(ヒューマンリソース)システム業界で同社が抱える課題を打ち明ける。

 そこでジョブカンらしさを打ち出すべく、社内のクリエイティブチームでCMを制作することにした。広告代理店を通さず、撮影場所も自社オフィスという“手弁当”っぷり。CM内で手越が出社に使う愛車のランボルギーニや哀川の背景にあるカブトムシパネルは、実際に本人の私物を借りている。

出演の哀川は自宅からカブトムシパネル(左後方)を持参して協力
出演の哀川は自宅からカブトムシパネル(左後方)を持参して協力
手越は実際の愛車・ランボルギーニで登場
手越は実際の愛車・ランボルギーニで登場

 「通常のCMに比べて破格の低コストに抑えられた。1日で5パターンのCMを撮り終えてスチール撮影まで完了した。スケジュール的にも非常にコスパが良かった」と、西村氏は振り返る。

 実は青木氏とディレクターの井上尚也氏は、もともと大手テレビ局で音楽番組やバラエティー番組を作っていたバリバリのテレビマンだった。今回のCMで、井上氏は脚本、監督、編集も担っている。

 「テレビ育ちならではの分かりやすさを重視した。さらにCMであっても面白くなければだめだという思いも強い」と井上氏が話すように、格好良さやおしゃれさは排除して、システムの具体的な活用シーンを明確に描き、同時に手越のお決まりポーズや愛車の前で社名でもある“ドーナツ”を食べるなどテレビらしい遊び心もちりばめた。

 ちなみにオフィスに設置された小道具は、ドラマ『半沢直樹』(TBS系)の美術スタッフが担当している。「細部に魂が宿るという考え方もテレビで身に付いたもの」と井上氏。