サザンオールスターズの桑田佳祐がサラリーマンに扮(ふん)するCMを展開するSOMPOホールディングス。2019年にブランドスローガンを刷新し、その認知拡大のため国民的アーティストをキャラクターに起用した。

SOMPOホールディングス、損保ジャパンのCMキャラクターに起用された桑田佳祐
SOMPOホールディングス、損保ジャパンのCMキャラクターに起用された桑田佳祐
今回のキャラクター:桑田佳祐
■企業:SOMPOホールディングス

<クリエイターズファイル>
■クリエイティブ・ディレクター/コピーライター:松本 巌
■企画:小島 洋介、角田 武
■アートディレクター:小島 洋介
■広告会社プロデューサー:中野 友允、酒向 凌大
■制作会社プロデューサー:川崎 俊介
■演出:三木 俊一郎
■撮影:町田 博
■制作会社:TTR
■広告代理店:電通

 グループ内で主要事業の国内損害保険を担う損保ジャパンのCM「花」編は、桑田佳祐扮するサラリーマンが、妻のために花を購入する場面から始まる。妻の顔を思い浮かべ、気分よく帰路に就く途中、老婦人がつまずきそれを助けたことで花が折れてしまうアクシデントに見舞われる。しかし、気を取り直し花を胸ポケットに入れてご機嫌で帰宅する。

 老婦人を万が一に見舞われた顧客に見立て、それを全力でサポートする桑田が損保ジャパンのバックアップを表している。「損保といえば、マイナスをゼロにするイメージだが、損保ジャパンのサービスに触れていただくことで、ゼロどころかプラスにしていくというメッセージを込めた。桑田さんの存在自体がプラスの意味を表現している」(SOMPOホールディングス/損保ジャパン メディアグループの久我貴⼤⽒)

損保ジャパンのCM「花」編

 2019年のデジタル広告費がテレビ広告費を上回った現在、マス広告を行う意義についてSOMPOホールディングスの担当者はこう語る。

 「オールターゲットに広く認知を獲得できるのは、テレビが一番だと考える。ネット社会と称される現在でも、日本人の約90%がテレビを視聴しているため、競合他社のCM露出が増えるとブランド想起率が低下する可能性がある。生活者はテレビCMで目にする企業に対して“大手で信頼できる、安心感がある”という認識を持つが、これは保険会社にとっては必要不可欠な企業イメージ。

 マス広告は保険会社のことを知るきっかけや興味関心を持ってもらうきっかけになるため、保険会社の『信頼性』や『一流感』を最も効率よく伝えられる手段の一つであるとともに、当社の企業姿勢を広く伝える手段として活用している」

 テレビCMだけに頼っているわけではない。デジタルやパンフレット、ポスターなどで、テレビ離れした世代の目にも留まるよう、メディアミックスで広告戦略を展開する。

 損保ジャパンを中核に、保険事業のグローバル展開や介護・ヘルスケア、国内生命保険事業にも注力するSOMPOホールディングス。19年10月にはブランドスローガンを「安心・安全・健康のテーマパーク」に変更し、保険の枠組みを超えたトータルサポートの提供や、グローバル市場での存在感の強化に乗り出した。さらにSDGs(持続可能な開発目標)の達成を目指し、社会貢献を果たす姿勢も新たに打ち出した。

SOMPOホールディングス「腕まくり」編

 SOMPOホールディングスのテレビCM「腕まくり」編には、この新しいスローガンを社内外に広く認知させる狙いがあり、幅広い世代に刺さるクリエイティブや広告戦略を考えた。一方、損保ジャパンのテレビCM「花」編の場合は、保険事業のターゲットは幅広いものの、自動車保険のコアユーザーであるM2層(35~49歳の男性)とM3層(50歳以上の男性)が実質的なメインターゲットであるため、「⾃動⾞保有のメインターゲット層である世代にプラスを与える。元気になる、明るくなる、ほっこりするクリエイティブやメディアミックスの広告戦略」(久我氏)を心がけたという。20年10⽉からはターゲット層が多く視聴する『報道ステーション』や『サンデーモーニング』の番組スポンサーになった。

 ちなみに、桑田が出演するCM以外にもWebを中心に企業CMを展開し、それぞれ明確にターゲットを設定している。国内で初めてのろう者のバス運転士・松山建也さんを起用したCMは、聴覚障害者に手話通訳サービスの存在を知ってもらうため、「安心にも安全にも格差があってはいけない」というメッセージを込めた。SOMPOホールディングスの「介護従事者にエールを」編では、介護従事者がターゲットとなっている。

動画「損保ジャパン企業CM『日本で初めてのろう者のバス運転士』編
「耳や言葉の不自由なお客さま専用手話通訳コールセンター」利用者数は、動画公開前の月と翌月では利用件数が約3倍に伸びた

誰よりも人生を楽しむトップアーティスト

 では、なぜ新しいブランドパートナーに桑田を起用したのか。

 「SOMPOホールディングスは、19年10月にブランドスローガンを変更し、同時に損保ジャパン日本興亜ひまわり生命保険は『SOMPOひまわり生命保険』に、20年4月には損害保険ジャパン日本興亜から『損害保険ジャパン』に社名を変更した。ブランドスローガンの社内外への浸透と、お客さまの安心でいたい・安全でいたい・健康でいたいという根源的な思いに応え、ソリューションを提供し続け、お客さまに寄り添っていきたいという企業姿勢を伝えるためにパートナー契約を結んだ。

 桑田さん自身が誰よりも人生を楽しみ、時代を超えて日本中が認めるトップアーティストであり、40年以上にわたりチャレンジを続ける姿は他に類を見ない。『安心・安全・健康のテーマパーク』の実現を目指す当社のタレントとしてふさわしいと判断した」(久我氏)

 CMキャッチコピー「今日という日を、楽しむために。」から着想を得たCMソング『金目鯛の煮つけ』は桑田の書き下ろしで、コロナ禍で厳しい環境にある現在でも何気ない日常やささやかな幸せに感謝しながら、どんなときも笑顔で生きていきたいという、思いが込められている。

「腕まくり」編。曲名にもなった金目鯛の煮つけを作るシーン
「腕まくり」編。曲名にもなった金目鯛の煮つけを作るシーン

(写真提供/SOMPOホールディングス)