比率の次は存在意義を問う

 80年代後半にビールのドライ戦争によっておつまみ需要が高まり、亀田の柿の種は急成長した。その後、消費者の嗜好の変化に合わせてわさび味や梅しそ味、さらにはチョコレートでコーティングされた商品や、減塩タイプに梅ざらめなど、さまざまなニーズに合う商品を展開してきた。配合比率に決着がついた次に浮上したのが、「そもそも亀田の柿の種ってお客様にとって何なのか?」という存在意義への疑問だった。

 おつまみでもあり、おやつでもある。主食だと言い張る人もいる。多様なニーズがあるのはうれしい半面、商品の軸足の置き所に悩むのも事実だ。20年7~8月にはマツコがVTRで出演する「亀田の柿の種オンラインサミット」を一般消費者500人を巻き込み開催した。「どんなときにどんな場所で食べるか」「おやつかおつまみか、それとも」などへの課題について議論。「フライの衣にする」「朝ごはんとして食べる」など個性的な意見も続出した。

 ダイソンやバルミューダの製品を抽選で1010人にプレゼントするキャンペーンとして、SNSでも応募を受け付け。20年9月30日にはテレビCMを放送するなど「大変どーでもいい問題」と謙遜しながら、大々的な広告を展開している。投票の結果は今後の製品開発やプロモーション等に活用していくという。

 ブランドの本質に影響する2つの大きなキャンペーンにマツコを起用したのは、もともと彼女が亀田製菓のファンで、亀田の柿の種を主食として公言していたから……だけではない。亀田側にはお客様を巻き込んで大々的に展開したいという狙いがあった。しかし、SNS全盛の現在、無名の口コミでは信頼されず、ステルスマーケティングなどもってのほか。信用のおける人物の推奨に対して反応する傾向が強い。

 「そこで率直で的確な言動で好感度の高いマツコさんを起用し、メーカーに忖度(そんたく)しない、お客様目線で意見する主婦として疑問を呈してもらった。さらに、投票やオンラインサミットなどで楽しく盛り上がりながら自ら試したい、発信したいと思ってもらえる施策でお客様の参画意欲を高めたかった」(池ノ上氏)

 亀田製菓のもう一つの主力商品「ハッピーターン」でもCMキャラクターを務めている。今や同社の看板となったマツコが仕掛ける「亀田の柿の種何なの?問題」キャンペーンの結果は、20年11月10日の投票締め切り後に集計し、発表する予定だ。消費者が親しみを持っている商品だけに、ファンならずとも気になる調査に違いない。

柿の種の命運を握るママツコ
柿の種の命運を握るママツコ

(写真提供/亀田製菓)