シリーズ1作目は是枝裕和監督作品だった

 小林氏は長澤起用の理由をこう説明する。

 「新しいCMにしようと考えたとき、キャラクターの条件は3つあった。ユーザーである主婦と同じ女性で、商品のメジャー感と同じように知名度があること。そしてお芝居が上手なこと。KINCHOのCMは現場でセリフが変わることもしばしばなので、演技力は必須条件。長澤さんは条件すべてに当てはまるうえ、絵コンテに出てくる女性を演じている姿が目に浮かんだのが決め手だった」

 シリーズ第1作『はずしてみたら?』『ふんばる手』篇では、長澤は高畑淳子とコンビを組み、虫コナーズが「効いてないようにみえて効いていること」「最後まで効き目が続くこと」を訴えた。

 実はこのCM、長澤が出演した映画『海街diary』でメガホンをとる是枝裕和監督が監督を務めている。くしくも撮影場所は映画の舞台と同じ、神奈川県鎌倉市だ。

 「映画と環境が似たためか、長澤さんもこのシュールなキャラクターを自然に演じてくださった。その後も毎年、企画に合わせて相手役を変えてシリーズを重ねているが、売り上げが安定しており、CMの効果を実感している」と小林氏。

 1966年に「ハナ肇とクレイジーキャッツ」の桜井センリが、殺虫剤「キンチョール」のCMでボトルを逆さに持ち、「ルーチョンキ」とアドリブを放ち大ヒットしことをきっかけに始まったKINCHOの面白CM。これでもかと言わんばかりのハードルの低さを武器に、ともすれば無視される恐れのあるCMの注目度を、長年にわたって高く保ち続けてきた。もはやKINCHOの“芸風”と呼べる域にまで達していると言っても、過言ではないだろう。

松尾スズキと共演した17年の『効き目もローンも』篇でも、振り切った演技を見せる長澤
松尾スズキと共演した17年の『効き目もローンも』篇でも、振り切った演技を見せる長澤

CMギャラリー<是枝裕和作品>

シリーズ1作目『はずしてみたら』篇(2016年)
シリーズ1作目『はずしてみたら』篇(2016年)
『ふんばる手(ぶぁ~)』篇(2016年)
『ふんばる手(ぶぁ~)』篇(2016年)

(写真提供/大日本除虫菊)