リクルート住まいカンパニー(東京・港)の不動産情報サイト「SUUMO(スーモ)」のCMが視聴者を驚かせている。世界的アーティストのYOSHIKIが「スーモマーチ」をピアノで演奏し、キャラクターのスーモと共演。前作のDA PUMPと打って変わって荘厳な世界観に一変させた狙いとは。

今回のキャラクター:YOSHIKI
■企業:リクルート住まいカンパニー
■商品:SUUMO

<クリエーターズファイル>
■クリエイティブ・ディレクター:横澤宏一郎
■プランナー:横澤宏一郎
■コピーライター:横澤宏一郎
■アートディレクター:横澤宏一郎
■監督:平田大輔
■撮影:越後祐太
■音楽:野口時男
■広告代理店:博報堂
2020年1月9日に放映開始したYOSHIKIが出演するSUUMOの新CM
2020年1月9日に放映開始したYOSHIKIが出演するSUUMOの新CM

ブランド訴求とシーン訴求でCMをすみ分け

 廃虚と化した古代神殿をイメージしたセットの中、雲間からさす光の下でピアノを奏でるYOSHIKI。短調にアレンジされたスーモマーチを静かに弾き始める。背後にたたずむキャラクターのスーモの姿を認めると、今度は一転して力強く情熱的にスーモマーチを演奏する。そしてYOSHIKIの脳裏にある疑問が浮かぶ。

 「あれ? なんで僕、この曲弾いているんだろう?」

 いつしか目の前に立っているスーモと視線を合わせると、先の疑問の答えを見つけたYOSHIKIがこうつぶやく。

 「あ、引っ越したいからだ……」

 これが2020年1月9日から放映された「SUUMO」の新CMだ。

 SUUMOのCMと言えば、ダンスボーカルグループDA PUMPが「♪スモスモスモスモ、スモスモスーモ……」と歌いながら、大ヒット曲「U.S.A.」の“いいねダンス”をベースにしたスーモダンスを踊るシーンを覚えている人も多いだろう。躍動的な動きでブランド名を前面に押し出すインパクトが印象的だった。

 ところが新作では、曲調も画面構成も打って変わって静かに始まる。脳裏に焼き付けるような「スーモ」の連呼もない。何より初めて見た人は「なぜ、SUUMOのCMにYOSHIKIが?」と驚いたに違いない。しかしこのギャップこそが明確な狙いだった。

 リクルート住まいカンパニー ネットビジネス統括本部マーケティングユニットブランドデザイングループのグループマネージャー伊藤健人氏は、「表面上はブランドイメージと相反するキャラクターながら、コアな部分で親和性のある人を起用することで、いい意味でのギャップによるインパクトをもたらしたかった」とその背景を述べる。

 実は20年から同社はスーモのCMに中川大志と中条あやみという2人の若手俳優も起用し始めた。これまで継続してきた住まい探しのシーンを描いたCMを若手2人で展開し、一方でインパクトのあるYOSHIKIのCMで「物件数No.1」を訴求する“2本立て”のコミュニケーション戦略だ。

初めての一人暮らしをテーマにフレッシュで親しみやすい中川大志を起用し、具体的な住まい探しのシーンでSUUMOの利便性を訴求する
初めての一人暮らしをテーマにフレッシュで親しみやすい中川大志を起用し、具体的な住まい探しのシーンでSUUMOの利便性を訴求する
中条あやみも中川と共に住まい探しのシーンで訴求する
中条あやみも中川と共に住まい探しのシーンで訴求する

 前身の「住宅情報」から09年にブランドを統合して誕生したSUUMOのCMは、当初ブランドキャラクターのスーモだけが登場し、親しみやすさのアピールでブランドの認知向上を図った。その効果があり、SUUMOに切り替えてから数年後には認知スコアも十分上昇。それを受け、14年からは利用意向を高めるため具体的な住まい探しのシーンを押し出したCMも展開。19年からはブランド想起をより向上させるため、インパクトのあるCMをDA PUMPとロックバンドのヤバイTシャツ屋さん(ヤバT)を起用して作成した。

 一貫して親しみやすさを訴えてきたSUUMOが、ここにきてブランドイメージを背負うインパクトCMのキャラクターにポップなアーティストではなく、風格漂うYOSHIKIを選んだのはなぜなのか。