「カロリーコントロールアイス」のリブランディングで2017年に誕生した江崎グリコの糖質オフシリーズ「SUNAO」。18年からテレビCMを開始し、19年に新キャラクターとして戸田恵梨香を起用した。“朝ドラヒロイン”として国民的女優となった戸田で解消したい糖質オフ食品ゆえの葛藤とは。

江崎グリコ「SUNAO」の新キャラクターとして2019年5月からCMに出演する戸田恵梨香
江崎グリコ「SUNAO」の新キャラクターとして2019年5月からCMに出演する戸田恵梨香
今回のキャラクター:戸田恵梨香
■企業/商品名:グリコ/SUNAO

<クリエイターズファイル>
■クリエイティブ・ディレクター/アートディレクター/演出:箭内道彦(風とロック)
■クリエイティブディレクター:栗波亨(大広)
■クリエイティブ・プロデューサー:平井 真央(風とロック)
■プランナー/コピーライター:村橋 満
■デザイナー:深瀬美帆、久保直緒(すき あいたい ヤバい)
■フードスタイリスト:せんるいのりこ(FOOVENIR)
■音楽:福島節(Ongakushitsu Inc.)
■企画・制作:風とロック/すき あいたい ヤバい/大広

低糖質の機能性がユーザー拡大のあだに

 柔らかな陽光が差し込む窓辺に座り、「幸せのアイスといえば、やっぱりSUNAOがおいしい」のナレーションに合わせ、ソフトクリームをゆったりと口へ運び、目を閉じながらその味わいを楽しむ戸田恵梨香――。江崎グリコの糖質オフ食品「SUNAO」<バニラソフト>のCMは、おいしさとそれを楽しむ幸福感を前面に押し出している。“素直”に考えれば低糖質という機能をアピールすべきところだが、なぜグリコは正反対の情緒に訴えようとしているのか。実はそこにこそ今回SUNAOが目指したマーケティング戦略と戸田の起用を結び付ける理由があった。

柔らかな陽光で幸せを演出する
柔らかな陽光で幸せを演出する

 SUNAOは2017年2月に前身のカロリーコントロールアイスをリブランドして生まれた。全商品の糖質を10グラム以下に抑えた低糖質のアイスやビスケット、プリンなどのデザートを展開する。カロリーコントロールアイスはもともと、総カロリーが80キロカロリーしかないラクトアイスで、言うまでもなく低カロリーがアピールポイント。ダイエット中の人や体重を気にする人だけでなく、糖尿病患者でも楽しめるアイス菓子として受け入れられていた。しかしその機能性がユーザー拡大を阻む一因でもあった。

 江崎グリコマーケティング本部広告部の青野祥子氏は、「リスクアプローチを前面に出した機能性訴求は、今、その症状に悩んでいる人には強く受け入れられたものの、そうではない人には糖質が低くおいしくなさそう、味が薄そうといったおいしさへのネガティブなイメージを強く持たれやすかった」と3年前のブランド刷新の背景を打ち明ける。

豆乳やとうもろこし由来の食物繊維で、糖質・カロリーをコントロールしながらアイスを楽しめる。ビスケットやプリンなどの菓子もある
豆乳やとうもろこし由来の食物繊維で、糖質・カロリーをコントロールしながらアイスを楽しめる。ビスケットやプリンなどの菓子もある

 そこでSUNAOでは20~40代の美容や健康を意識する女性にターゲット層を広げ、現在健康な人もおいしく、かつ健康も維持できるようにメッセージの転向を図った。18年5月に開始したCMでは映画監督の蜷川実花氏が演出を担当し、10~30代の3人のモデルemma、アリス、松岡花佳がキャラクターを務めた。ターゲット層に新ブランドを認知してもらうため、女性の自然で魅力的な表情を引き出すのに定評がある蜷川氏を起用し、幅広い年齢層の3人が楽しそうにおいしそうに食べる姿を映し出した。「これまでの硬いイメージを、女性が好む世界観が得意な蜷川氏に覆してもらった」と青野氏は振り返る。

 CMの事後調査では、ターゲット層でカロリーコントロールアイスを知らなかった人も「自分向けの商品である」と認識するようになったことが分かった。しかし、まだおいしさに対するネガティブイメージは払拭できていなかったという。そこでよりメッセージ力の強いタレントの起用を決断した。

 幾人かの候補の中から選ばれたのが戸田だった。

「SUNAO」<アイスはSUNAOへ編>