芯が通った生き方が商品の世界観と合致した

 戸田を起用した理由を青野氏はこう語る。

 「認知度や好感度はもちろん、これまでのキャリアでの納得性や信頼性を重視した。戸田さんの数々の作品を見たりインタビュー記事を読んだりして、仕事や生き方に芯が通っていると感じた。よりたくさんの人にSUNAOはおいしいのに糖質オフできるということを知ってもらい、世の中の人が健康になれるようにという大きな目標を掲げている。しっかりとした軸を持った戸田さんであれば、このメッセージを届けてもらえると思った」

 くしくもCM起用直後に、NHKの朝ドラ「スカーレット」のヒロインが戸田に決まったことが発表された。青野氏はその朗報に、「朝ドラヒロインに抜てきされるというのは、人間力、女優力が評価されたということ。もともと広く認知されている女優だが、年配の方を含めてすべての年代の人に戸田さんのいいところを知ってもらえるきっかけになった。SUNAOとしてもうれしい」と喜びを隠さない。

 戸田の新CMは機能性よりおいしさに軸足を置き、商品のシズルカットや戸田がおいしそうかつ幸せそうに食べている表情を大切にした。前作からは振り切ったシンプルで落ち着いた演出で社内でも驚かれたが、「おいしそう」と前向きに捉えられたという。

 事後調査でも「おいしそう」というイメージが大幅にアップし、狙い通りの評価を得た。「戸田さんがおいしそうに食べてたCMだよね」とSNSでも話題になり、認知が少しずつ上がってきていることを実感しているという。

 しかし青野氏は満足しない。「おいしさ訴求はできたが、機能性の認知は下がってしまった。認知を積み上げつつおいしさと糖質オフをバランスよく伝えるため、今後もCMフレームのチューニングが必要」と気を引き締める。この辺りのジレンマを解消するため、グリコがどのような“調整”を施すのかは注目に値するだろう。

 戸田は今後も続投の予定。グリコでは彼女の意見をコミュニケーション戦略に取り入れることも視野に入れている。「戸田さんは過度なダイエットやカロリー制限は心の豊かさを奪うため、食べることに我慢はしないと話されている。その考えはSUNAOの世界観と非常に親和性が高い。戸田さんの考えと通じる点はどんどん発信してきたい」(青野氏)。

SUNAOの世界観と親和性の高い考えを持つ戸田の意見をコミュニケーション戦略に取り入れることも視野に入れる
SUNAOの世界観と親和性の高い考えを持つ戸田の意見をコミュニケーション戦略に取り入れることも視野に入れる

(写真提供/江崎グリコ)