いろいろな「すてきな表情」を伝えたい

 「特定の個人が薦めるより、年齢や性別を分けることでタレントのイメージだけでなく、色々な人が見せる、おいしいビールを飲んだときのすてきな表情を伝えたかった」と、鈴木氏はCMキャラクターに6人も起用した理由を明かす。逆説的だが、大人数を登場させることにより個々のタレントが持つ“キャラ色”を薄め、ビールや食事のおいしさ、そして幸福感といったメッセージを際立たせようと考えたのだ。「あくまで商品を中心に置きたい」と鈴木氏も明言する。

 キャラクターはバラエティー豊かにする一方、イメージがばらけてしまわないよう歌を共通項にして、1つの世界観を作り上げた。「音楽や歌はCMの記憶になりやすい」(鈴木氏)ため、CMの浸透度を高める利点もある。

鈴木亮平は早く仕事が終わって、まだ明るいうちに直帰するサラリーマンの設定。“ビールと直帰する幸せ”に浸る
鈴木亮平は早く仕事が終わって、まだ明るいうちに直帰するサラリーマンの設定。“ビールと直帰する幸せ”に浸る

 「各世代を代表するタレントの方々を採用したい」(キリン)との思いから、17年4月のリニューアル時点で堤、満島、鈴木、石田の起用を決定。2年後の4度目のリニューアルに合わせて追加起用した濱田、足立はそれぞれ31歳、26歳と若く、「エントリー層の代表として一番搾りの世界の広がりを表現してもらいたい」(鈴木氏)という期待がある。鈴木氏は「これまでのCMの中で、今回が一番素直にメッセージを出せたと思う。虚勢を張らずに商品で勝負したい」と語る。

 麦汁ろ過の工程で自然に流れ出る“一番搾り麦汁”だけを使って作る一番搾り。コストアップは避けられずプレミアム商品にすべきだとの声もあったが、おいしいビールを多くの人に飲んでもらうことを優先し、通常価格で販売した。ただ真っすぐにおいしさがもたらす幸せを伝えるCMは、「一番うまいビール」を追求した開発の原点に通じている。

19年5月から登場する濱田岳は「うなぎ編」で、白焼き、うまき、肝焼き、かば焼きと、うなぎ料理との相性の良さをアピール
19年5月から登場する濱田岳は「うなぎ編」で、白焼き、うまき、肝焼き、かば焼きと、うなぎ料理との相性の良さをアピール
濱田と同時に起用された足立梨花。「ホルモン編」では初めてホルモンとビールの相性の良さに気づくという設定でエントリー層を狙う
濱田と同時に起用された足立梨花。「ホルモン編」では初めてホルモンとビールの相性の良さに気づくという設定でエントリー層を狙う

(写真提供/キリンビール)