2017年からキャラクターを務める森星に加え、10年ぶりに母の姿で登場した蛯原友里と新たに現役女子高生の八木莉可子を起用した、資生堂の日焼け止めブランド「アネッサ」の新CM。世代の異なる3人をそろえた裏に、18年連続シェア1位を守り続けてきた“絶対王者”ならではの悩みがあった。

アネッサのCMに登場する“ミューズ”の蛯原友里(左)、森星(中)、八木莉可子(右)
アネッサのCMに登場する“ミューズ”の蛯原友里(左)、森星(中)、八木莉可子(右)
今回のキャラクター:森星、蛯原友里、八木莉可子
■製品:アネッサ
■企業:資生堂

<クリエーターズファイル>(ユニバーサル篇)
■エグゼクティブクリエイティブディレクター:高橋歩(資生堂)
■クリエイティブディレクター:須之内元也(博報堂)
■企画 プランナー 高橋歩・佐藤園美・宮澤ゆきの(資生堂)/下枝弘樹・増田光宏(博報堂)
■アートディレクター:佐藤園美(資生堂)
■コピーライター:宮澤ゆきの(資生堂)/増田光宏(博報堂)
■プロデューサー:漆畑好美(資生堂)
■制作会社プロデューサー:松本真一・児玉雅仁・山本純平(ワンダラクティブ)
■広告会社プロデューサー:佐々木めぐみ・山田恭平・坪野愛(博報堂)
■CMディレクター:辻川幸一郎
■CMカメラマン:田島一成
■プロダクションマネージャー:花原渉・金山耕平・仙台駿(ワンダラクティブ)
■照明:古尾裕之
■美術:山村一智/平健一
■ヘアメイク:豊田健治・石田美紀・中村潤・中川まどか・百合佐和子・松井怜(資生堂)
■スタイリスト:三宅陽子/辻直子
■キャスティング:渡辺桂子(資生堂)/森茂樹(プロシード)
■音楽:『Summertime』(RIRI, KEIJU, 小袋成彬/㈱ソニー・ミュージックレーベルズ)

 陽光を浴びた水着姿の森星が、真っ青な海に設置された塔のてっぺんで「ずっと、輝け」と叫ぶ。19年3月から放送するアネッサの新CMだ。17年からブランドキャラクターとして登場して以来、太陽の下で生き生きとした表情を見せ続ける。

 そこに19年4月、2人のキャラクターが加わった。2005~08年にミューズを務めた蛯原友里と、17歳の八木莉可子だ。この起用の背景には、技術力に裏打ちされた商品力と市場でトップを走り続ける“王者”だからこそ抱えてしまった問題を、何とか克服したいという強い思いがあった。

 アネッサは1992年の発売以来、日焼け止め商品において18年連続で国内シェア1位という圧倒的な存在感を示す。まだUV(紫外線)対策意識の低かった消費者に、紫外線が健康に及ぼす影響を啓発。高い紫外線防御効果と耐水性で「絶対に焼けない」との評判を獲得し、一気に認知度とシェアでトップの座に就いた。

 資生堂ジャパンアネッサブランドマネージャーの山崎まりえ氏は、「長い間浴び続けることで影響が蓄積するUV-A(紫外線A波)に対応する意味の『PA』を世界で初めて表記したり、せっけんで落とせる商品を発売したり、常に挑戦を続けている。特に汗や水に触れることでUVブロック機能が強くなる『アクアブースター』は画期的」と、技術力に胸を張る。今や売り上げの約半分を海外が占めるなど、資生堂にとって押しも押されもせぬグローバルブランドに成長した。

 高い技術力とともに話題になるのが、華やかなプロモーションだ。山崎氏は「アネッサのCMが夏を引っ張っていると言われる。シーズンものだからこそ、強いプロモーションを意識している」と話す。

 “ミューズ”と呼ぶアネッサの歴代キャラクターも、そうそうたる顔ぶれだ。りょう、長谷川理恵、吹石一恵などに続いて13~16代目を務めた蛯原は、ボニー・ピンク(BONNIE PINK)のCM曲とともに大きな話題になった。ここ10年は毎日使う手軽さや使い心地の提案にも注力し、コミュニケーション展開も訴求したいメッセージごとに変化させてきた。

 2010年代前半は蒼井優などを起用して、「肌をやさしく守る」「せっけんで落とせる」「スキンケア効果をプラス」「PA++++」と訴求。10年代中盤は長谷川潤で、ジェルなどアネッサの使い心地をアピール。17年には森星を起用し、今だけでなく未来の美肌も守り続ける「ビューティーサンケア」を伝える。これらにより、日常からレジャーまで幅広く対応していることをアピールする。

 一方、19年7月4~7日にはブランド名を冠したプロゴルフトーナメント「資生堂 アネッサ レディスオープン」を初開催するなどスポーツを通したブランド訴求にも余念がない。

2018年には、プロテニスプレーヤーの大坂なおみとブランドアンバサダー契約を結んだ
2018年には、プロテニスプレーヤーの大坂なおみとブランドアンバサダー契約を結んだ

 市場では絶対王者のアネッサもその価格や、高い機能性が与える「肌に負担がかかるのでは」という疑念に頭を悩ませてきた。山崎氏は「若い層からは価格が高くて自分たちの商品ではないと思われ、子育て中のママの中には子供の肌には強すぎるのではと、敬遠する人もいた」と、歯がゆさをにじませる。

 そこで19年、2年以上ブランドを支えてきた森に加え、約10年ぶりの蛯原再登板や新たな八木の起用で、ユーザーの間口を広げる決断をした。

2019年に蛯原友里をママ役で再起用した
2019年に蛯原友里をママ役で再起用した
同じく19年から起用した八木莉可子
同じく19年から起用した八木莉可子

蛯原でママ&八木でティーンに訴求

 3年目の森について山崎氏は、「アネッサは太陽の下、アクティブで自由な人生を応援するブランド。森さんの健康的な美しさと明るい笑顔、そして全身からあふれる輝きが、まさにアネッサミューズにふさわしいと考え、3年連続での起用となった」と語る。

3年連続ミューズを務める森星。「常にハッピーなオーラが出て人を明るくする力がある」(資生堂ジャパンアネッサブランドマネージャーの山崎まりえ氏)
3年連続ミューズを務める森星。「常にハッピーなオーラが出て人を明るくする力がある」(資生堂ジャパンアネッサブランドマネージャーの山崎まりえ氏)

 蛯原は子役とともに「マイルド」をアピールする。「今でもアネッサといえば蛯原さんの印象を持つ方がいるほど認知度が高い。ママになった蛯原さんに、改めてアネッサの良さ、特に『お子さんと一緒に使えるやさしさ』を訴求してもらった」(山崎氏)と、元ミューズの実力に加え、当時のCMに影響を受けた世代がママになる時期に重なったことが蛯原起用の決め手となった。

 蛯原が子供の紫外線対策への思いを語る、デジタルのみで公開している動画は、約1分の長さにもかかわらず、完全視聴率(最後まで視聴する割合)が高く、「ママの姿の蛯原さんへの高い関心がうかがえる」と山崎氏。

 一方、17歳の八木は女子高生でも手を出しやすい価格で持ち運びに便利な「ミニ」を訴求する。「(ティーン雑誌)『セブンティーン』の専属モデルに起用されるなど、若年層から圧倒的認知度を持つ」(資生堂)と、同世代からの共感を期待されての起用となった。テレビCMに加え、通学路でのポスター広告や、雑誌とタイアップしたデジタル施策を取り入れた。

「ミニ」は、容量を通常商品より少なくして価格も下げた。パッケージには日光に当てると隠れたメッセージ(5種)が現れる仕掛けも
「ミニ」は、容量を通常商品より少なくして価格も下げた。パッケージには日光に当てると隠れたメッセージ(5種)が現れる仕掛けも

 夏の厳しい紫外線から肌を守るのに、実は世代など関係ない。だが、資生堂を代表するトップブランドで、なおかつ優れた機能を備えた商品であっても敬遠されてしまうという皮肉な現実。その見えない壁を、元祖“ブランドの顔”と若々しい“新星”で幅広い世代にアピールし、こじ開けようとするアネッサ。発想こそシンプルだが、そのストーレトさ故、破壊力はありそうだ。

19年4月からは3人が登場する「ユニバーサル編」を放送。敬遠されがちだった子育て中のママやティーンにもメッセージする
19年4月からは3人が登場する「ユニバーサル編」を放送。敬遠されがちだった子育て中のママやティーンにもメッセージする

3人で「今も未来の美肌も守り抜く最強UVカット効果」を伝える

 青い水着姿の森星が海に設置した塔の上で「アネッサ」と言い、蛯原が「私はマイルド。赤ちゃんと一緒に使えるのがうれしい」と子供に日焼け止めを塗り公園で遊びながらより肌に優しい「マイルド」をプッシュ。八木が「私はミニ。絶対焼きたくない日はアネッサと一緒」と、「ミニ」を塗ったあと観客席でメガホンを使い応援する。最後に3人で「私たちのアネッサ」と幅広い層にアピールする。

なつかしCMギャラリー

2代目ミューズのりょう
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今回再起用された蛯原は13代目ミューズに。3年間、ブランドの顔を務めた
今回再起用された蛯原は13代目ミューズに。3年間、ブランドの顔を務めた
16代目のミューズは長谷川潤が務めた
16代目のミューズは長谷川潤が務めた

(画像提供/資生堂)