「ヒロシです」を貫いた15年に共感。新しい一面にも注目

 自然な、ジブンで、生きていく――。ジャワティの新しいメッセージには、これまで一貫してぶれなかった自分たちの姿勢への矜持(きょうじ)が表れている。

 一方、ヒロシは「ヒロシです」のフレーズから始まる悲哀漂うホスト役のコントで、04年ごろからブレイクし、著書も50万部を売り上げるなど人気は絶頂に達した。しかし大手プロダクションを辞めた後、少しずつ主要メディアでの露出が減少。そんな彼を「一発屋」と称する向きもあった。

 だが、ヒロシはヒロシを演じ続けた。2019年には芸能生活15年を迎える。15年にはソロキャンプ好きが高じてYouTubeに「ヒロシちゃんねる」を開設し、1人でキャンプを楽しむ様子を投稿し続け、19年6月初旬時点での登録者数は41万人を突破した。好きなことを仕事にするという内容の著書『働き方1.9 君も好きなことだけして生きていける』(講談社)は、アマゾンの起業・開業ノンフィクション分野で3位(6月12日時点)を獲得し、彼の生き方は多くの共感を呼んでいる。

 ジャワティ30周年のコミュニケーションを、テレビCMより消費者に近い手段で伝えたいと考えた大塚食品は、YouTubeを選んだ。「じっくりYouTube動画を見ていただくことで、ジャワティが30年前から訴求しているこだわりを伝えたかった」と、大塚食品広報室専任課長の後藤あゆみ氏は語る。

 ヒロシ起用の理由について森川氏は、「自然で飾らないスタイルを、周りの環境が変わっても貫いている。さらに好きなことにも挑戦し続ける姿に深く共感した」と語る。

 一本気を貫くジャワティとヒロシのこだわりが詰まった動画は、公開から3日で11万回以上再生され、現在(6月13日)は22万回を突破している。コメント欄には、「ジャワティ史上最高のCMだと思う」「ヒロシくんてセンスすごい。何千万円もかけた広告よりおいしそう」と好意的な反応が寄せられている一方、「ジャワティが一番シンプルでおいしいと思います。でも、近所ではどこにも売っていません」と、商品を見つけられない視聴者からの書き込みも目立った。

 ヒロシは大衆に迎合することなく、自分を愛してくれる“少数派”を大切にしてきた。それがいつしか実を結び、彼の生き方に共鳴する人は確実に増えている。その結果は、ジャワティが仕掛けた「キャンプ動画」の視聴回数を見れば明らかだ。30年もの間、製品としての“生き方”を貫き続けてきたのはジャワティも同じ。互いに響き合えば、ジャワティもヒロシのようにより多くのファンを獲得できるだろう。

「ジャワティを見つけづらい」というユーザーの声をもとに、販売している場所を見つけてツイートすれば抽選でヒロシが選んだアウトドアグッズをプレゼントするキャンペーンも実施した
「ジャワティを見つけづらい」というユーザーの声をもとに、販売している場所を見つけてツイートすれば抽選でヒロシが選んだアウトドアグッズをプレゼントするキャンペーンも実施した

顔が映るのはわずか3秒。さりげなくロゴをアピール

一息つきたくなったのでのんびりティーキャンプ
一息つきたくなったのでのんびりティーキャンプ

 YouTubeで公開した「一息つきたくなったのでのんびりティーキャンプ」と題した動画の長さは10分27秒。そのなかでヒロシの顔(頭部)が映るのはわずか3秒。ハンモックを張ることから始まり、固定したカメラでソロキャンプの様子を黙々と撮影する。たき火を起こし、そこで調理したギョーザの傍らに置いたり、夜にはやかんに入れて温めて飲むなどさりげなくジャワティを登場させる。最後にBGMとともにジャワティと30周年を表すロゴが出る。