2018年に大いに盛り上がったeスポーツ。大会やeスポーツのチーム、選手のスポンサーに非ゲーム系の協賛企業・ブランドが多数参加するようになったことで、eスポーツを取り巻くエコシステムが回り始めた。収益を上げられる有料イベントも徐々に増えそうだ。
少し前までeスポーツ大会は、ゲームタイトルのIPホルダーが主催、運営していたため、協賛企業が就くこと自体、まれだった。就いたとしてもゲーミングPCやその周辺機器など、ゲームに親和性の高いゲーム系企業によるもの。それが、この1、2年でがらりと変わった。
代表例が、格闘ゲームの祭典「EVO Japan」だ。18年の「EVO Japan 2018」では、非ゲーム企業の協賛はカップヌードル(日清食品)とレッドブル・ジャパン。だが、19年2月に福岡で開催された「EVO Japan 2019」では、特別協賛にNTTドコモが、協賛にカップヌードルのほか、Indeed Japan、日産自動車、久光製薬、ベスト電器などが並んだ。このことからも、この1年でeスポーツがいかに企業の注目を集めるに至ったかが分かる。
キャラクターやサンプルでアピール
従来、eスポーツに協賛してきたゲーム系企業は、大会に参加する選手やそれを視聴するゲームファンと親和性が高く、直接的に商品のアピールができた。一方、非ゲーム系企業・ブランドの場合、目的は企業イメージや商品イメージの向上、知名度のアップとなる。
そのための方法の1つが、ロゴの掲出やオリジナルキャラクターの大会派遣だ。コナミデジタルエンタテインメントのPlayStation 4向け野球ゲーム『実況パワフルプロ野球2018』を使ったeスポーツ大会「eBASEBALL パワプロ・プロリーグ2018-19」のスポンサーを務めた三井住友銀行(SMBC)は、大会の様子を中継するライブ配信に動画広告を投入。実況解説席のフロントパネルや会場内の看板、大会公式ホームページ、ゲーム内の球場看板にロゴを掲出した。また、表彰式などに企業キャラクターの「ミドすけ」を派遣している。
また、カップヌードルの日清食品や、エナジードリンク「レッドブル」のレッドブル・ジャパン、「モンスターエナジー」のモンスターエナジージャパンなど、食品・飲料系企業は、大会会場で商品サンプルを配布している。実際に商品を配るというのは、テレビや雑誌、ウェブなどの広告では難しい宣伝手法。商品のターゲットとなる若い世代に直接手にしてもらえるのは大きな利点だ。
ミクシィのスマホ向けゲーム『モンスターストライク』(モンスト)のプロチーム向け大会「モンスターストライク プロフェッショナルズ2018」(モンストプロリーグ、18年10~12月に開催)にはカルビーの「じゃがりこ」が協賛。「18年12月にモンストとのコラボレーション商品を発売し、モンストユーザーに商品を知ってもらえる場として、大会を位置付けた。会場でのサンプリングや動画配信内での広告で露出した」という。
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