若者にはテレビCMよりも効果的

 eスポーツに参入する企業の狙いは、若い世代に向けた自社ブランドのアピールだ。e日本シリーズ 2018-19に協賛したSMBCは、試合当日の会場やライブ配信などでブランドロゴやイメージキャラクターを掲出。「若者に行きにくいイメージを持たれがちな銀行が、若年層との接点を構築するため有力なコンテンツとしてeスポーツに注目している」(SMBC広報)という。

 また、JeSUとプロeスポーツチームをスポンサードするKDDIは、選手のユニホームなどにブランドロゴを入れている。同社では「eスポーツが(既存のスポーツと違い)身体的な特徴や性別に左右されず、誰でも参加できる」点に注目。10代から20代にブランド認知を進める上で、「eスポーツの先進的なイメージと自社のブランドイメージとの親和性は高い」と判断した。

JeSUが選出した日本代表のユニホームには、KDDI(au)をはじめとするスポンサーのロゴが入っている(写真/酒井康治)
JeSUが選出した日本代表のユニホームには、KDDI(au)をはじめとするスポンサーのロゴが入っている(写真/酒井康治)

 こうした動きは、広告媒体の入れ替わりを反映しているとも言えそうだ。前出のウェルプレイドの谷田社長は、「従来、広告メディアとしてテレビCMが有力だったが、多くの企業にとってのターゲットである20代男性はテレビを視聴しない人が増えている。テレビCMではなかなかリーチできないため、それに代わるツールとしてeスポーツが注目されているのでは」と指摘する。

 一方、食品・飲料の分野では、商品サンプリングの場としてeスポーツを活用する例が目立つ。例えば、カルビーは18年12月、同社のスナック菓子「じゃがりこ」でミクシィのスマホ向けゲーム『モンスターストライク』(モンスト)とコラボ。同月に開催されたeスポーツ大会「モンスターストライク プロフェッショナルズ2018 トーナメントツアー」(モンストプロツアー)の会場でコラボ商品を配布した。

 カルビーによると「じゃがりこは若年女性に、モンストは若年男性に人気と、ユーザー構成比が異なる。これまでなかったeスポーツという接点に露出することで、普段スナック菓子を食べない人、関心が低い人に興味を持ってもらうきっかけになればと考えた」とのこと。日清食品の「カップヌードル」、大塚製薬の「ポカリスエット ゼリー」などもeスポーツ会場でのサンプリングを実践しており、その例は枚挙にいとまがない(飲料、電機、メガバンクもeスポーツに参画 狙いは若者との接点)。

 さらに、「企業の取り組み次第では、大会当日に限らず、長期間、繰り返し自社のブランドや商品に接してもらう機会にもできる」と話すのは、eスポーツイベントや専用施設「e-sports SQUARE」の運営などを手掛けるRIZeST(東京・千代田)の古澤明仁社長だ。

 eスポーツの大会は予選などを含め、数カ月にわたって開催されることが多い。その間、スポンサーの広告は、大会ホームページやライブ配信などで繰り返し表示されることになる。加えて、ゲームにはSNSやゲーム実況などで造成されたファンたちのコミュニティーがある。大会をサポートするということは、これらのコミュニティーと継続的に接点を持つことにつながる。しかも、「ライブ配信などを介してネットで観戦する観客が多いeスポーツは、そもそもECとの相性がいい」(古澤社長)。

収益要素はさらに拡大する可能性も

 ここまでスポンサー収益の拡大について述べてきたが、eスポーツが多くの観客を集めるエンターテインメントへと昇華したことで、今後eスポーツの収益要素はさらに拡大する可能性もある。

 すでに、eスポーツの大会の運営会社、ライブ配信するプラットフォーム、配信事業者などがあるが、今後はゲームの実況者や解説者、大会の様子を撮影、編集する制作業務、選手のマネジメント業務など、eスポーツに特化した事業の需要が高まる見込みがある。eスポーツの選手やこれら業務にかかわる人材を育成するための教育事業も活発化してきた。スポーツなど、既存の分野から参入する企業も増えれば、eスポーツを取り巻くエコシステムはさらに拡大しそうだ。

eスポーツを取り巻くエコシステムは新たなビジネスも生み出している
eスポーツを取り巻くエコシステムは新たなビジネスも生み出している