セブン&アイ・ホールディングスのデジタル戦略の要がCRM(顧客関係管理)の強化だ。登録者が1400万人を超える会員IDを軸としたデータを、グループ横串で活用することでLTV(ライフ・タイム・バリュー=顧客生涯価値)の増加を狙う。これまでデータに基づき約300の施策を実施。月平均購買金額を1535円高めた。
「POS(販売時点情報管理)システムのデータは名無し、(電子マネーの)『nanaco』は双方向のコミュニケーションに向かず、データもバラバラ。そこで、この数年で『7iD(セブンアイディー)』を軸に名前が見える形へとデータを統合させてきた」。
セブン&アイ・ホールディングス執行役員デジタル戦略部の清水健シニアオフィサーの言葉は、データ基盤の整備が一段落し、攻めに転じる準備が整ったことを意味する。
セブン&アイ・ホールディングスは、1日当たり延べ約2300万人が訪れるセブン-イレブンの顧客接点を生かして、店舗起点でデジタル活用を推進し、“セブン経済圏”を築き上げようとしている。グループの顧客向け共通IDである7iDは、その根幹となる仕組みだ。ID保有者は約1400万人の規模に達している。
7iDの会員は、ECサイト「オムニ7」での買い物や、グループ会社のレジでの精算時にアプリの会員証を提示することで、グループ共通のマイル「セブンマイル」を、購入金額1円につき1マイル取得できる。マイル数に応じて会員ランクが5段階で上がり、ランクに応じてnanacoポイントや、イベントに応募できる権利といった特典を付与する。セブン&アイ・ホールディングスは7iDを軸に、グループをまたいだ購買データの蓄積が可能になる。
このコンテンツ・機能は有料会員限定です。
- ①2000以上の先進事例を探せるデータベース
- ②未来の出来事を把握し消費を予測「未来消費カレンダー」
- ③日経トレンディ、日経デザイン最新号もデジタルで読める
- ④スキルアップに役立つ最新動画セミナー