セブン&アイ・ホールディングスが強力に推進するデジタル戦略の実像に迫る特集の第1回。足元ではコンビニの「24時間営業問題」がクローズアップされる一方で、小売り史上最大としても過言ではない、リアル店舗の顧客接点のうまみをデジタル活用で増幅するCRM(顧客関係管理)戦略が進行中だ。その全貌に迫る。
1日当たり約2300万人。セブン-イレブンを主力とするセブン&アイグループ各社の店舗には、毎日これだけの顧客が押し寄せている。米アマゾン・ドット・コムでは望むべくもない、こうした顧客とのリアルなつながりをデジタルの力で深め、膨大な顧客データを核とした“セブン経済圏”をつくり出す――。セブン&アイは今、国内の小売企業で過去類を見ない壮大なCRM戦略にまい進している。
リアルな顧客接点の肝となるのは、2018年6月から順次リリースしている新アプリだ。その裏では、グループ統一の顧客ID「7iD(セブンアイディー)」が付与されており、リアル店舗とネット通販、グループ間を問わず、顧客の買い物行動を捉える。ここで収集・分析したデータを生かし、個々人に合わせた商品・サービス提案を続けることで、LTV(ライフ・タイム・バリュー=顧客生涯価値)を最大化することが狙いだ。
目下、セブン&アイを揺さぶっているのは、コンビニのフランチャイズオーナーをめぐる「24時間営業問題」。しかし、これに対しても、「次の一手」として省人化テクノロジーを軸とした検証が進みつつある(関連記事「セブンが成長の“踊り場” セルフレジやAI発注も活用」)。
グループで7兆円弱の売上高を誇る“巨艦”は、デジタルをいかに使いこなしているのか。セブン&アイ・ホールディングスの後藤克弘副社長が、デジタル起点の店舗戦略の全貌を明かした。
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