日経クロストレンドの独自調査「イノベーション300」で、その成長力の高さから、そうそうたる大企業と肩を並べ、9位にランクインしたのが、作業服最大手のワークマン。職人向けという従来のイメージを覆したカジュアルウエアの新業態「ワークマンプラス」が大ヒットし、快進撃を続けている。
まさに、絶好調と言っていい決算だった。19年3月期は、チェーン全店売上高が前期比で16.7%増の930億3900万円。全国で3482万人もの来店客を集め、営業利益、経常利益、純利益はすべて20%を上回る大幅増益で着地した。
業績を大きくけん引したのは、18年9月から出店を始めた新業態のワークマンプラス。当のワークマンすら予想していなかったほど、大爆発した。
1号店のららぽーと立川立飛店(東京都立川市)は開業から半年の売上高が計画比の2.2倍を達成。その後の新店も軒並み入場制限がかかる人気ぶりで、列島に大旋風を巻き起こした。
極め付きは、ワークマン自身が「西宮戦争」と盛り上げた、兵庫県西宮市の陣。世界最大のスポーツ用品チェーン「デカトロン」が阪急西宮ガーデンズに上陸する2週間前の19年3月14日、同じ西宮市のららぽーと甲子園にワークマンプラスを開業。オープン初日の売上高が460万円と、過去最高額を更新した。
誤解されがちだが、ワークマンプラスとワークマンで、コンセプトに大きな違いはない。ワークマンプラスは、ワークマンの膨大な商品群のうち、一般受けするカジュアルウエアを中心に“切り出した”専門店だ。
ユニクロをはじめとしたファストファッションや、スポーツウエアブランドは数あれど、日本のアパレル市場には圧倒的な低価格と、職人品質の機能性を両立させたブランドはなかった。ワークマンは、そこに目を着け、なおかつそこには4000億円ものブルーオーシャンが眠っていると見積もり、攻め込んだ(関連記事「ワークマン大量出店の裏にABテスト 実はデータ経営企業だった」)。
一般受けするカジュアルウエアを中心に商品を絞り、店の外観や売り場をスタイリッシュに見せることで、イメージを刷新。結果、これまでワークマンに見向きもしなかった一般客を取り込むことに成功したのだ。つまり、ワークマンプラスの成功は、マーケティング力のたまものと言える。
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