企業公式Twitterアカウントの「中の人」が運用の秘訣を語る本連載。セガの第6回(セガ編最終回)は、他社とのコラボ企画について取り上げる。納豆やコンビーフを具材にした「セガのたい焼き」はどうして生まれたのか。コラボの仕掛け方、成功の秘訣に迫る。

2.中の人の仕事はフォロワーの期待を上回るコンテンツを提供すること
3.商品発売タイミングは記念日を念頭にスケジューリングする
先日、東急ハンズの池袋店が2019年6月末にリニューアルしてハンズカフェも入ったと聞いて、久々にサンシャイン60通りを歩いたのですが、ハンズの手前左手に「セガ池袋GiGO」がありますよね。そうしたら店頭で何やらたい焼きを売っていて……。
はい、「セガのたい焼き」池袋店です。オープンしたのは2018年4月なので、もう1年半になりますね(笑)。
どうしてまたたい焼きを?
ゲームセンターでゲームをしばらくやっていると小腹がすいてきますよね。そんなとき、ワンハンドで手軽に食べられるものを店舗で提供できたらいいね、という議論からいくつか案が出てきて、選ばれたのがたい焼きでした。
人気たい焼き店の「横浜くりこ庵」さんに全面的に監修いただいて、くりこ庵で店舗研修を受けたスタッフが店頭で焼いています。19年7月にオープンした「セガ秋葉原5号館」にも秋葉原店を出店しました。現在、秋葉原店では、「メガドライブミニ」の発売を記念して、コントローラーをモチーフにした「メガドラパッド焼」を11月10日まで期間限定で販売中です。
自社キャラクターのグッズ化や他社キャラクターとのコラボ企画がたい焼きでも実現するわけですね。
はい、おかげさまで好調に推移しています。一方で「Twitter発のたい焼きも作りたい!」と私が社内に提案して作ってもらった第1弾が「セガのたい焼き『大粒納豆』」です。
「中の人」はたい焼きの具も企画するのですか!
はい、企画兼営業も…(笑)。ご協力いただいたのが北海道室蘭市の内藤食品工業さん。家族経営規模の会社ながら、道産の大豆を使った「おらが街」納豆は、第15回全国納豆鑑評会で最優秀賞を受賞したこともある実力派。ただ、味にこだわるあまり原価率が上がってしまうのか、3年前に「【悲報】緊急融資断られるorz」とツイートしていました。これに、内藤食品工業さんの納豆のファンである北海道バーチャルアイドル「北乃カムイ」アカウントや、病理医のヤンデル先生が応援メッセージを発したことで、たくさんの人が同社の納豆を買って持ち直したというTwitterならではのストーリーがありました。
銚子電鉄の「ぬれ煎餅」のような展開があったのですね。
ええ。たい焼きの中に納豆を入れるという案は「セガのたい焼き」商品開発案の1つにありましたが、急に発売しても“キワモノ”扱いされてしまうので、タイミングやストーリーは大事だと考えました。単純に利益を出すなら、もっと入手しやすくて安価な納豆を仕入れたほうがいいのでしょうけれど、私もTwitter上で会話した経緯があったので、ぜひ内藤さんと組もうと「納豆たい焼き」を企画しました。
やるからにはまずいとは絶対に言われたくないので、納豆、しょうゆ、カラシをどのタイミングで投入してどう焼くか、たい焼きの商品開発者と試行錯誤して、大粒納豆をまるごと1パック使った「セガのたい焼き『大粒納豆』」を18年7月上旬に期間限定で販売しました。7月10日が「納豆の日」で、Twitterでもメディアでも盛り上がるタイミングと知っていたので……。バナナマンの設楽統さんが司会のフジテレビ系情報番組「ノンストップ」に取材され、納豆たい焼きをお持ちして、食べていただきました。おかげさまで連日売り切れの人気でした。
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