企業公式Twitterアカウントの「中の人」が運用の秘訣を語る本連載。東急ハンズに続いて登場するのは、夏場は「あずきバー」、冬場は「肉まん・あんまん」という定番人気商品を持つ井村屋。第1回は、2019年4月1日のエイプリルフールに“参戦”しなかった意外な理由を明かす。

井村屋グループの公式Twitterアカウント開設は2012年7月で、決して早い時期ではないものの、現在フォロワー数は15万人超。開設10周年の東急ハンズとほぼ同じ規模です。企業らしからぬ面白ツイートを発信する“軟式”な運用が持ち味ですが、その本領が発揮されるのが4月1日のエイプリルフールですね。今年、19年は……?

いろいろ考えましてね、実はやめたんです。

井村屋公式Twitterは、19年のエイプリルフールに“参戦”せず、週刊で漫画の連載を開始
井村屋公式Twitterは、19年のエイプリルフールに“参戦”せず、週刊で漫画の連載を開始

19年は4月1日に新元号を発表することになって、混乱を避けるためにエイプリルフール企画を見送る企業が相次ぎました。やはり新元号の影響ですか?

いや、継続するかどうかは18年の段階から議論があって、18年は実施しましたが、翌19年は見直そうと決めていました。

 エイプリルフールに限らずですが、大きなイベントには参加したほうがいいと考えて取り組んできました。エイプリルフールって10年以上前には、企業Webサイトをガラッと変えてしまうような大掛かりなものが流行っていましたよね。あれは相当な予算をかけていたと思います。その後SNSが普及したことで、実施のハードルがだいぶ低くなり、当社としても取り組みやすくなったので、恒例行事として実施してきました。

 16年は、井村屋を「丼村屋」に“社名変更”して、その日1日、ツイートの末尾に「ドン」を付けて投稿する、なんてこともやりましたね。17年のネタは「猫専用のあずきバー『あずきにゃー』発売、ペットフード業界に参入」でした。

箱に書かれている「あずきたっぷり」が「ねこだいすき」になっていたりして、総じて好評だったように思います。

フォロワーの皆さんには喜んでいただけたと思います。ただ同時に懸念点が2つ出てきました。1つは、企業規模問わず個人も含めて簡単にSNSで参加できるようになったことで、“ウソ”があふれかえって注目を集めるのが難しくなってしまった。「GIGAZINE」やまとめサイトでまとめられますが、年々増える一方ですし、「#エイプリルフール」のハッシュタグを追っても大量に表示されて、自社のツイートが埋もれてなかなかたどりつけない。

エイプリルフールそのものに対してネガティブな反応が出てきた

 もう1つは、エイプリルフールそのものに対してネガティブな反応が出てきたこと。もちろん、どんな投稿にもポジティブ、ネガティブ両方の反応があるのは当たり前なのですが、「エイプリルフール疲れ」と言いましょうか、「またやるの?」というネガティブな空気感が醸成されているように感じました。飽きもあるでしょう。4月1日は新年度に切り替わる日ですから、新体制・新組織のプレスリリースなど重要なお知らせもある。そんな日に“ウソ”が乱れ飛んでいる状況にイラッときている方も見受けられました。

 そこで昨年(18年)の4月1日はちょっと趣向を変えて、「エイプリルフール動画リアル化計画」を展開しました。まず用意したのは、4月1日に配信する10秒弱のエイプリルフール動画10本。「攻めの一手や糖分補給に『あずきバー将棋』」「どんなストーンも吹き飛ばす『あずきバーストーン』」「どんな激しいライブでも壊れない『あずきバーギター』」といった、“あずきバーは固い”を意識した面白動画です。

 当社では毎年7月1日を「井村屋あずきバーの日」と定めて、前後の週末に全国のイベント会場であずきバーをサンプリングするキャンペーンを開催しています。そこに、あずきバーをかたどったギターなど、ウソだったはずのアイテムを実際に作って用意しました。ギターは音も出ます。「エイプリルフールネタの実物があるぞ!」ということで撮影スポットとなり、イベント会場からツイート、拡散する流れを作ることができました。

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