日経クロストレンドの会員向けセミナー「日経クロストレンド・ミートアップ」。2020年11月3日の第18回は、スペシャル版として「2020年ヒット商品ベスト30 受賞者が語るヒットの秘密」をテーマに、リアル会場とオンラインで開催された。「2021年ヒット予測」「2020年ヒット商品」で上位入賞を果たした企業の担当者が登壇した。

左から日経トレンディの澤原昇記者、三谷弘美編集長、VILLAGE INC.(ヴィレッジインク) 代表取締役の橋村和徳氏、ループ・ジャパン アジア太平洋統括責任者のエリック・カワバタ氏
左から日経トレンディの澤原昇記者、三谷弘美編集長、VILLAGE INC.(ヴィレッジインク) 代表取締役の橋村和徳氏、ループ・ジャパン アジア太平洋統括責任者のエリック・カワバタ氏

 日経トレンディは、毎年12月号でその年にヒットした商品・サービスや来年ヒットすると予測される商品・サービスを発表する。2020年も11月3日の午前10時に発表会が開催された。これを受けて同日午後2時からのミートアップでは、受賞した企業の担当者を招いて、日経トレンディ編集長・三谷弘美と澤原昇記者がトークを繰り広げた。

社会課題の解決に取り組む動きがヒット予測の上位に

 ミートアップは大きく2部構成。第1部では、ヒット予測ランキングで1位と4位にランクインした「無人駅&辺境グランピング」と「Loop(ループ)」の仕掛け人が登壇した。

 三谷編集長が「本当に行ってみたい、こんな旅をしてみたいと心から思えたサービス」と話すのが「無人駅&辺境グランピング」。グランピングとは、“魅力的な”などを意味する「Glamorous(グラマラス)」と「Camping(キャンピング)」を掛け合わせた言葉で、キャンプでありながらホテル並みのサービスが受けられるというもの。新しいキャンプスタイルとして近年注目されている。

 そのグランピング施設を、無人駅や秘境といった人があまりいない場所を活用して展開することが21年のトレンドになると編集部では予測。地方の活性化や遊休施設の活用に有効なことに加えて、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響で人混みを避け、キャンプをする需要が高まっていることも追い風になると見ている。

 そんな「無人駅&辺境グランピング」のキープレーヤーとなるのがスタートアップ企業のVILLAGE INC.(静岡県下田市)だ。20年2月に無人駅として知られるJR上越線・土合(どあい)駅(群馬県みなかみ町)にグランピング施設を建設し、実証実験を行ったところ、40日間で計81名が宿泊したという。

 登壇した同社の代表取締役・橋村和徳氏は「これまで辺境にグランピング施設をつくる取り組みをしてきたが、無人駅にも着手し始めた。全国には600近くの無人駅があるといわれている。コロナの影響でキャンプの裾野が広がりつつあり、『おもてなし』や『快適さ』だけではなく、『不便さ』も注目されているように思う。今後は各地のへき地や辺境、無人駅などを“宝の山”へと変えていきたい」と意気込みを語った。

 また橋村氏は今後の計画として、「辺境や無人駅だけでなく、廃校もターゲットにしようと考えている。学校はその地域の象徴だった場所。消えるのは忍びなく、建屋として残しているのが大半。そこに新しい価値を付随させたい」と話した。

橋村氏は21年の注目トレンドが「サウナテント」になると予測。「テントで身軽にサウナを体験できるカルチャーが芽生えつつあり、新しい温浴文化として根付いていくと思っている」
橋村氏は21年の注目トレンドが「サウナテント」になると予測。「テントで身軽にサウナを体験できるカルチャーが芽生えつつあり、新しい温浴文化として根付いていくと思っている」

 近年は廃棄プラスチックによる海洋汚染が社会問題化。国内でも20年7月からレジ袋が有料になるなど、サステナビリティーへの関心も高まっている。そんな状況の中、編集部がヒット予測の第4位に選んだのは容器のリユースプロジェクト「Loop(ループ)」だ。

 Loopが目指すのは、シャンプーなどの日用品の容器を回収して洗浄、中身を詰め替えて再度ユーザーに提供するというビジネスモデル。使い捨てのプラスチック容器の代わりに再利用可能な容器を利用する。19年5月に試験サービスを開始して成功を収め、事業拡大を加速している。現在では世界150社以上、日本だけでも22社が参加しており、今後は小売店にも導入される予定だ。

 「ごみ問題の解決は世界的に大きな課題。それをリユースという形で取り組もうと思った。ただユーザーに負担だけを強いるとリユース事業は伸びない」と、ループ・ジャパン(横浜市) アジア太平洋統括責任者のエリック・カワバタ氏は話す。そこで考えたのが容器そのもののデザイン性や機能性を高めること。例えば、「アイスを入れて外に4時間放置しても溶けないなどの機能や、美しいデザインで勝負しようと思った」とカワバタ氏。まさに「捨てるに忍びない」デザインや機能でリユースを促す。

 カワバタ氏は「これからはオンラインだけでなく小売店でもサービス展開し、21年3月にはイオンでの販売と返却箱を設置する」と今後の展開を話した。

「日本は島国で資源が少ないため、『もったいない』という精神が根付いており、きれいな容器を捨てられずにいるケースも少なくない」とカワバタ氏
「日本は島国で資源が少ないため、『もったいない』という精神が根付いており、きれいな容器を捨てられずにいるケースも少なくない」とカワバタ氏

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