2020年7月20日に開催された日経クロストレンドのセミナー・プラス読者限定のセミナー。テレワーク時代の新しいプレゼンテーションスキルをまとめた書籍『“秒速”プレゼン術』(日経BP)の著者である戸田覚氏が登壇し、書籍には含まれなかった技を含め、新世代のプレゼン技法を解説した。
テレワークが主流となりつつある今、リモート会議を使ってオンラインでのプレゼンをする機会が増えたという人も多いだろう。そこで重要になるのが、ネット越しで聞き手の心をつかむ、プレゼンスキルだ。『“秒速”プレゼン術』を執筆した戸田氏が書籍には記さなかったコツを含め、withコロナ時代の新しいプレゼン技法について語った。
オンラインでは工夫をしなければ聞いてもらえない
オンラインのプレゼンテーションは、相手に対面するプレゼンとは勝手が異なる。従来と同じ要領でプレゼンをしていると、うまくいかないことがある。まず戸田氏が挙げた例が「発表者ツール」。パソコンにプロジェクターを接続した状態でスライドショーを開始すると、黒い背景で「次のスライド」や「ノート」を参照できる発表者ツールが出てくる。ところが、画面が1つしかないパソコンでオンラインプレゼンをする際にスライドショーの画面を共有しても、開発者ツールは出てこないのだ。
これまで開発者ツールの中で、次のスライドやノートを参照しながら話してきた、という人は、やりづらさを感じるはずだ。そんな時、戸田氏は「『Keynote』にPowerPointで作成したプレゼンデータを読み込ませて、iPadで表示している。こうするとスライドの一覧が開くので、次のスライドは何かを確認しながら話すことができる」と言う。
こうした細かいオンラインと従来のプレゼンの差を把握したうえで、適切な対処をしないと、スムーズに話せないのだ。例えば、テレビ会議ツールでのプレゼンや会議では、ビデオを非表示にして参加する人も多い。そのため、相手の顔が見えず、相手のリアクションが分からない。ビデオをオンにしていても、画面が小さいために表情が読み取りにくい。
オフラインなら、聞いている人が熱心にメモを取っていたり、逆に退屈そうな表情をしていたりと、表情や反応から様々な情報を得られる。反応が悪ければ「さあここが大切です」とポイントを強調するなど、関心を持ってもらえるように対策を講じられるが、画面越しではそれが難しく、相手の興味関心や集中力を長時間持たせるのが難しい。
「ずっと変化のない画面を見ていると疲れるうえに飽きてしまう。自身でYouTube動画を配信して分かったことだが、基本的に約3~5分で離脱している。つまり、プレゼンも3分以内で心をつかまなければ、その先の内容を見てもらえない」(戸田氏)
オンラインプレゼン向きの秒速スライドの作り方
では、短時間で相手の心をつかむプレゼンはどう作れば良いのか。戸田氏が提唱するのが、1枚のスライドに表示する要素を減らし、平均1分以内でどんどんめくっていく「秒速プレゼン」という手法だ。
一般的なスライドは、文字が多くて見えづらいケースが多い。そのため、演者の話を聞くよりも文字を読むことに一生懸命になってしまう。そうなると話の内容が頭の中に入ってこない。ではどうするか。1枚のスライドに盛り込んだ要素を細かく分類し、徹底的に分解した要素を1枚ずつスライドにすれば完成するのだ、と戸田氏は説明する。
「目に入る情報量が多いと、今は製品の軽さについて話しているにもかかわらず、スライドを見て『値段はこんなものか』と、演者の説明を聞かずスライドだけを見て、勝手に理解してしまう視聴者もいる」(戸田氏)。スライド1枚に短いキーワードのみを記載するようにすれば、聞き手はスライドに書かれている内容を瞬時に把握し、その後は説明を聞こうとする態勢へとスムーズに移行できるのだという。
スライド1枚に記載する文字はどの程度の長さが適切なのか。「1枚のスライドに記載する文字数の目安は16文字。読むのが得意な人でも25文字以下。オンラインではスマホで見ている人もいるので、情報量を少なくするのがお薦めだ」と戸田氏は助言する。
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