スライドにはなるべく文字を書かない

多くの人が、このようなスライドを作りがちだ。これでは聞き手は文字を読んでしまい、話し手の説明を聞かなくなってしまう
多くの人が、このようなスライドを作りがちだ。これでは聞き手は文字を読んでしまい、話し手の説明を聞かなくなってしまう

 プレゼンのスライドの作り方にもコツがある。プレゼンがうまくいかないと悩んでいる人の多くはスライドに書かれている文字が多く、スライドに記載されている文章を読むだけのケースがほとんどだ。

戸田氏は文字を最小限にするという。目に入る情報量が少なくなり、聞き手は話し手の説明に耳を傾けやすくなる
戸田氏は文字を最小限にするという。目に入る情報量が少なくなり、聞き手は話し手の説明に耳を傾けやすくなる

 「よいスライドとは文字が少ないもの。理想は紙芝居」と戸田氏は言う。プレゼンを失敗する人が作りがちのスライドは、紙芝居の絵が左にあって、裏に書いてある話の文章が右側に書かれてしまっている状態。そのため聞き手は文章に目がいってしまい、話し手の説明に耳を傾けなくなる。

 「多くの人が『説明の途中で分からなくなってしまう』『正しく伝えたい』と文章をスライド上に記載するが、話す側がきちんとプレゼンの内容を理解していないだけ。自分が話す内容をきちんと理解し、自分の言葉で話すようにすればうまくいく」(戸田氏)

 ただし、原稿を作って暗記するのはNG。プレゼンのストーリーを理解していれば、スライドに文章を書く必要がなくなり、きちんと説明ができる。構成の順番が狂うと元も子もないので、アシスト的な意味でタイトルや製品名、絵などを入れればよいのだ。

ビデオ会議にもおすすめ「秒速プレゼンテーション」

 戸田氏のお勧めは「“秒速”プレゼンテーション」だ。1枚のスライドを平均1分以下でめくる手法で、45分のプレゼンで200枚用意するケースもあるという。

ついつい作りがちなスライド画面。秒速プレゼンテーションは、このスライドに書かれた要素を分解して書けばよい
ついつい作りがちなスライド画面。秒速プレゼンテーションは、このスライドに書かれた要素を分解して書けばよい

 1枚のスライドに説明したい絵や文字がすべて書いてあるのが一般的だ。しかし戸田氏はこの手法はよくないと主張する。前述の紙芝居と同じで、聞き手は説明を聞く前に文字を読んでしまうからだ。秒速プレゼンテーションの場合は、この1枚のスライドを数枚に分ける。戸田氏は、新製品のパソコンを例に実演で紹介した。

「新製品のポイントを紹介します。何と言っても最大のポイントはいつでも持ち歩けること。いつでも持ち歩けるパソコンは仕事の効率化アップにつながりますよね。ところが重いと持ち歩く気がしなくなり、利用機会が減ってしまいます」
「新製品のポイントを紹介します。何と言っても最大のポイントはいつでも持ち歩けること。いつでも持ち歩けるパソコンは仕事の効率化アップにつながりますよね。ところが重いと持ち歩く気がしなくなり、利用機会が減ってしまいます」
「どのくらいの重さかというと、1.98kg。重いかもしれませんが、これくらいなら十分持ち歩けます。なぜ軽いのかというと、マグネシウム合金を採用したからです」
「どのくらいの重さかというと、1.98kg。重いかもしれませんが、これくらいなら十分持ち歩けます。なぜ軽いのかというと、マグネシウム合金を採用したからです」
「金属にはさまざまな種類がありますが、マグネシウム合金は特に軽い。これはさまざまな金属の比重のデータです。マグネシウムは鉄に比べると5分の1くらいの重さしかありません」
「金属にはさまざまな種類がありますが、マグネシウム合金は特に軽い。これはさまざまな金属の比重のデータです。マグネシウムは鉄に比べると5分の1くらいの重さしかありません」
「マグネシウムは製品に使える実用的な金属の中で圧倒的に軽量ですが、価格が高い」
「マグネシウムは製品に使える実用的な金属の中で圧倒的に軽量ですが、価格が高い」
「そのマグネシウムを使ったにもかかわらず、11万7800円というのは割安であるといえます」
「そのマグネシウムを使ったにもかかわらず、11万7800円というのは割安であるといえます」

 テンポよく、それぞれのスライドで説明をしていくと、聞き入ってくれる。話すべき内容すべてが1枚のスライドに書いてあると、「値段は○○円なんだ」「マグネシウム合金を採用しているのか」など、話し手の説明とはお構いなしにさまざまなことを考えてしまい、説明を聞いてくれなくなるのだ。

 ビデオ会議にはスマホで参加している人もいるので、文字量が多いと読むのが大変で頭に入ってこないケースも少なくない。秒速プレゼンのように、少ない文字量でどんどん切り替えたほうが退屈せずに頭に入っていくはずだ。

 秒速プレゼンにすることで、スライド作りが楽になるというメリットもある。デザインやバランスを過度に考える必要がなくなるからだ。

 緊急事態宣言が解除となっても、新型コロナウイルスへの警戒がなくなることはない。オンライン会議システムを使ってプレゼンをするケースも増えるだろう。オンラインプレゼンが当たり前の時代になり、テンポよく伝えるスキルがこれまで以上に重宝されるかもしれない。今のうちから、ポイントを押さえておくべきだろう。