また、在宅勤務などで人と話す機会が減り、ストレスがたまっているという報道もあるが、これも「考え方ひとつ、目の向け方ひとつで『幸せ』へとつなげることができる」と富永氏は主張する。
「在宅勤務に対して“押し付けられた”というネガティブな感情を持たずに、この変化のよいところは何があるのか探してみるとよい。私的な体験だが、自社のビルは会議室が離れているため、会議が13~14時、14~15時と連続していると、移動の際どうしようと気もそぞろになってしまう。しかし、オンラインなら移動することもなく数クリックで済むため、最初と最後の5分の焦りがない。時間の無駄がなく、スマートに会議ができるのがよい」(富永氏)。
音部氏も人は利益よりも目の前の損失に左右されがちだという「プロスペクト理論」になぞらえて、「自粛せずにいることでどのくらい損するか明示されると、メンタリティーが変わってくるのではないか」と考えを述べた。
「今コロナに感染したら、どのくらいの損害を自分が負うことになるのか、誰も知らない。もし金銭化されれば、それは嫌だなという心理が働くはず」(音部氏)。損失回避したいという気持ちが働けば、行動しやすくなるというわけだ。
幸せになるための結婚相手の選び方は?
視聴者からの質問には「幸せになるための結婚相手の選び方を教えてほしい」というものがあった。
これに対して富永氏は、「人は基準点を作って比べる癖があるため、比較しないことが大事」だと語る。「隣のご主人よりも旦那のほうが、稼ぎが低いので私は不幸せ」「隣の奥さんより自分の奥さんが美人だから、自分のほうが幸せだ」など、人と比べて自分の幸せを測りがちだ。
「比較しているうちはなかなか幸せになれない。同じ方向を向き、お互いのオートノミー(自主性)を確保することに納得したうえで結婚するのがベスト。結婚相手の選び方も大事だが、自分の気持ちやマインドセットのやり方も同じように大事だと考えている」(富永氏)
対して松木氏は、自分にとっての「幸せ」は何かを明確に定義づけることが重要だと話す。「結婚しないほうが幸せな人もいる。何がその人の幸せかを定義するのが難しいが、その人にとっての幸せが、オートノミーを確保することなのか、オートノミーを確保しつつも相手に妥協して、相手のために何かをしてあげることなのか、人それぞれ。後者であれば、それが可能な相手を探すのがよいだろう。自分の幸せを定義してから相手を探したほうが、幸せになれるのではないか」と考えを述べた。
行動経済学の観点から物事を見ると、より幸せになるヒントが隠されている。興味がわいた人はぜひ、『「幸せ」をつかむ戦略』(日経BP)を手に取ってみてほしい。
(写真/花井 智子)