最も効果的な施策は「ファンミーティング」

 そして、ファンにアプローチするためには、まずファンが自社の製品を好きなポイント「ファンのツボ」を知る必要があると佐藤氏は話す。そのために最も効果的な施策が「ファンミーティング」だ。ファンに聞くならアンケートやグループインタビューでもいい、と思うかもしれないが「アンケートやインタビューだと意外と薄い言葉しか出てこず、ファンが本当に好きなポイントをミスリードしてしまいがち」(佐藤氏)だという。

 ファンミーティングの狙いは、ファン同士を合わせて盛り上がらせることにある。ファン同士で話すことにより、ファン自身が「自分がこの商品のどこが好きなのか」がクリアになっていく。企業側はそのやりとりをひたすら傾聴していけばいい、と佐藤氏は話す。多くの人を集める必要はなく、3~4人のグループをいくつか作るだけでも十分だという。そのなかで意見を誘導せず、ファン同士が自由に話す様子に張り付いて追いかければいいそうだ。

 続いて登壇した津田氏も、ファンミーティングの重要性を語った。津田氏は、ネスレ日本で2012年にネスカフェアンバサダーを立ち上げた人物だ。当時は1人で活動しており、広告を出す予算もなかったという。そんな中で、津田氏が取り組んだのがファンミーティングを中心としたファンとのサービスの共創だったという。当初サービスを展開していた北海道に足を運びファンミーティングを繰り返して、ファンの意見を基にサービス開発を行うことで、ファンを増やしていったそうだ。

ファンベースカンパニー COO/ファンベースディレクター 津田匡保氏
ファンベースカンパニー COO/ファンベースディレクター 津田匡保氏

 津田氏は、ネスカフェアンバサダーでファンに向き合う仕事の楽しさを実感し、他の企業にもやりがいを共有したいと考え、2019年2月にネスレ日本を退職。同年5月に佐藤氏とともに、ファンベースカンパニーを立ち上げた。ファンベースカンパニーが目指しているのは、企業がこれまで話してきたファンベースを実践するための支援だ。BtoCに限らずBtoBを含め多種多様な企業にサービスを提供している。

津田氏はネスカフェアンバサダーでも、ファンミーティングを繰り返して、ファンの意見を基にサービスを改善していった
津田氏はネスカフェアンバサダーでも、ファンミーティングを繰り返して、ファンの意見を基にサービスを改善していった

 ファンベースに興味がある企業からは「自社のコアなファンがどんな人か知りたい」「ファンと新規事業を立ち上げたい」といった課題が寄せられるという。その中で、ファンベースカンパニーはクライアントが主催するファンミーティングに入り、ファンの発言を記録してファンのツボを分析したり、ファン向けの施策を検討したりするという。津田氏によると、ファンミーティングを開催しただけで、やりっぱなしになっている企業も多いそうだが、非常にもったいないので、ぜひ記録を取って分析してほしいと話す。

 最後に津田氏は、ファンベースは短期的に結果が出るものではなく、未来に向けて腰を据えてやっていくものだと語った。今開発している製品が多くの人に愛され生き残していくためには欠かせない。ファンベースの考え方を少しでも理解して実践してみてほしいと話して締めくくった。

ファンミーティングはやりっぱなしにせず、記録を取って「ファンのツボ」を分析するための材料にしてほしいと津田氏
ファンミーティングはやりっぱなしにせず、記録を取って「ファンのツボ」を分析するための材料にしてほしいと津田氏

(写真/花井智子)