日経クロストレンドは、会員限定の無料交流イベント「日経クロストレンド・ミートアップ」を開催している。第3回となる2019年6月21日には「プロマーケターが問う 『AIはマーケターの仕事をどこまでできるか』」をテーマに、識者が意見を交わした。
日経クロストレンドは2019年6月21日、東京・大手町の「大手町フィナンシャルシティ グランキューブ3F グローバルビジネスハブ東京」で読者向け無料イベント「日経クロストレンド・ミートアップ」の第3回を開催した。テーマは「AIはマーケターの仕事をどこまでできるか」。
ミートアップでは、日本を代表するプロマーケターである富永朋信氏(イトーヨーカ堂 執行役員 営業本部副本部長兼販売促進室長)と、シリコンバレーを拠点に日本企業のAI(人工知能)活用を支援する石角友愛氏(パロアルトインサイトCEO/AIビジネスデザイナー)の2名が登壇。業界を問わず「AIに仕事が奪われる」と言われる今、人間のマーケターに求められるスキルや本当にやるべき仕事について、現状の事例を交えつつ意見を交わした。
マーケターの仕事とは一体何なのか
最初に富永氏は、聴講者を前にマーケターの仕事を改めて解説した。一口に「AIに仕事を奪われる」といっても、マーケターの業務内容は多岐に渡るからだ。氏が考える一般的な分類は以下の通りだ。
<A>マーケティングコミュニケーション開発
<B>商品開発
<C>(上記を通じた)ブランド構築やブランドマネジメント
<D>流通の最適化・トレードマーケティング
<E>EC売り上げの最適化
<F>(上記のベースとなる)調査・分析を通じたインサイト・知識の獲得
各項目の中でも、例えば、「<A>マーケティングコミュニケーション開発」であれば、調査やアイデア化、企画など、内容は細分化される。各項目の詳細については、富永氏が本イベントに先立ってまとめた記事に詳しく書かれているので併せて参考にしてほしい。(「『マーケターがやるべきこと』をプロマーケター富永朋信が再定義」)
この中で、富永氏が「異質だ」と前置きして言及したのは、「<E>ECにおける売り上げの最適化」だ。具体的には以下の業務が該当する。
(1)購買プロセスにおける課題・改善点抽出
(2)継続的なテストによる継続的な改善
(3)KPI進捗に応じたアジャイルなプロモーション実施
「販売の最大化は本来営業部門が追求する領域だが、デジタル化が進み、データを収集・分析できるようになったことで、マーケティングに求められる役割が変わった事例」だと富永氏は話す。