日経クロストレンドは2019年5月24日、第2回となる「日経クロストレンド・ミートアップ」を開催した。タイトルは「ミラノサローネ これからの企業はアートで成長する!」。19年のミラノデザインウィークに出展したニトムズとTAKT PROJECTをゲストに迎え、出展の意義や最新トレンドなどを報告した。

会場は東京・大手町の「大手町ファイナンシャルシティ グランキューブ3F グローバルビジネスハブ東京」。約150名が参加した
会場は東京・大手町の「大手町ファイナンシャルシティ グランキューブ3F グローバルビジネスハブ東京」。約150名が参加した

 日経クロストレンド・ミートアップは、さまざまな業界で活躍する専門家、著名人を講師として招く講演イベント。第2回となる今回、東京「大手町ファイナンシャルシティ グランキューブ3F グローバルビジネスハブ東京」で開催した。

 最初の登壇者は、日経BP総研デザイン・イノベーションセンター長の丸尾弘志。ミラノサローネやミラノデザインウィークの基本情報から、これまでの日本企業の動向や、19年、個人的に注目した展示について話した。

日経BP総研デザイン・イノベーションセンター長の丸尾弘志
日経BP総研デザイン・イノベーションセンター長の丸尾弘志

 過去の事例としては、15年から5年連続で出展しているAGCが、機能性素材を使ってさまざまなデザイナーやアーティストと共創するなかで、部品の新しい使い方の可能性を広げたり、予想外のメーカーとの協業が進んだりしたことを紹介。19年については、nendoがダイキン工業と組んだインスタレーションや、ロボティクスとAI(人工知能)をテーマにしたソニーの展示を紹介した。

 今回のテーマがデザインではなくアートであることについては、過去にnendoがミラノデザインウィークに出展した椅子を芸術作品として販売したところ、50脚1セットで1億5000万円するものが、3セット売れたことを紹介。アートマーケットとしてのミラノサローネの可能性を示唆した。

二トムズのコンシューマ事業部門部長である小川隆久氏
二トムズのコンシューマ事業部門部長である小川隆久氏

 次の登壇者は、粘着テープを主力製品とするニトムズのコンシューマ事業部門部長、小川隆久氏。同社は16年から4年連続で、空間装飾テープ「HARU stuck-on design;」を用いたインスタレーションを展開している。色を「塗る」から「貼る」へ、という発想から生まれた、貼って剝がせるのが特徴の全48色のテープだ。粘着クリーナー「コロコロ」が主力製品である同社は、これまでデザインとは縁遠かったが、「テープでも人を感動させられないか」との考えから、このブランドをスタートさせたという。

 19年は「会場では作品を見て涙する人などもいて、来場者の心に届いていると感じた」と小川氏は話す。4年目となり、ようやく「去年も見た」という来場者が数割いたことから、ブランド認知度の高まりを実感したという。「これからも、このブランドをミラノで発信していきたい」と締めくくった。会場の参加者にも、同ブランドのテープが配布された。

新しい価値提案「自主研究プロジェクト」

TAKT PROJECT代表の吉泉聡氏
TAKT PROJECT代表の吉泉聡氏

 次に、デザインスタジオTAKT PROJECT代表の吉泉聡氏が登壇。これまでミラノデザインウィークには5年間出展してきたが、19年に初めて「glow ⇄ grow」というタイトルで、個展に挑戦した。

 TAKT PROJECTはクライアントワークだけでなく、自主制作を重要視している。17年はアイシン精機、18年はセイコーウオッチをクライアントとしてインスタレーションを展開したが、今回は完全に自主制作のプロジェクトを提案。

 自主プロジェクトにおいて重要なのは、製品や技術が持つ新しい価値の方向性を提示すること、それを人々が体験できるものにすることだという。

 19年は約800本のつららのような照明を現地で「育てた」。特定の波長の光で固まる光硬化性樹脂を、つり下げた照明の上に少しずつ滴下し、プログラミングされたLEDの光で直接、硬化させて一つひとつ異なる形状を生み出した。まるで、つららのように少しずつ成長する作品だ。「制御してものをつくることと、制御せずにものをつくることの“間”に挑戦した。人工と自然、あるいは都市的なものと自然のものなど、その“間”にある環境を感じてほしいと考えた」と吉泉氏は語った。

 最後は3者によるトークセッションが開催された。スマートフォン経由でコメントを寄せるシステムを通じて、多くの感想や質問が集まった。「ミラノデザインウィークに出展するコストはどのくらい」というストレートな疑問から、「アイデアの出し方の工夫は」など、さまざまな質問が寄せられ、閉場ぎりぎりまで盛り上がった。

 日経クロストレンド・ミートアップ第3回は、19年6月21日に「プロマーケターが問う AIはマーケターの仕事をどこまでできるか」をテーマに、識者が意見を交わす予定だ。