日本のだしが西洋の素材と融和した「おでん」

 The Kitchen Hacker's Guide to the Food Galaxy in SXSWでは他にも、ウマミラボ(UMAMI LABO)や東洋ガラスも出展していた。

 ウマミラボが手掛けたのは移動式のポップアップだしラボラトリー。だしを取る全ての機材を1つのスーツケースに収め、日本の伝統的なだしの素材と、現地の食材、調味料、酒をブレンドすることで、その土地ならではの「うまみ」を発見する、というもの。発起人はデザインディレクターの望月重太朗氏で、当日は5種類の異なるだしを提供していた。

(1)Dive into the Sea, 1908
 真昆布、宗田がつお、さば節、伊吹いりこ。海を感じる配合。「うまみ」を世界で初めて1908年に発見した池田菊苗氏へのリスペクトを込めて配合をしている。

(2)Feel of the Earth, 2045
 普段は捨ててしまうような野菜くず(玉ねぎの皮、人参の皮、野菜のへた、乾燥しいたけなど)のみで作った野菜だし。食糧難が仮に起きた場合でも手に入りそうなわずかな資源だけで、おいしいだしを引けるような状況を想定した。

(3)(1)の魚介系のだしに、ハンドドリップで追いがつおしたもの

(4)Umami Soup Stock for Vegan
 昆布としいたけだけのヴィーガン専用だし。日本では精進だしと呼ばれるもの。

(5)(1)のだしをベースに、焼きアゴを加えたおでんだし
 アスパラガス、ビーツ、卵など、西洋野菜と日本のだしが融和した、日米友好のおでん。

(5)のおでん。日本人がイメージするおでんの具材は卵のみ。アスパラガスやビーツは新鮮味があり、あっさりとしただしが染みていた
(5)のおでん。日本人がイメージするおでんの具材は卵のみ。アスパラガスやビーツは新鮮味があり、あっさりとしただしが染みていた

 The Kitchen Hacker's Guide to the Food Galaxy in SXSWでは18種類の日本酒も振る舞われた。振る舞ったのは、ウマミラボでパートナーを務めている山寺純氏。イベント内では「Beyond Singularity: “Do Android Dream of Electric Gastronomy?”─ Galaxy of Japanese Sake Gastronomy ─」というタイトルでプレゼンテーションした。日本酒の国内消費量は1973年と比較して65.9%も減少しているが、輸出量は直近8年間で増加しているという内容。日本食に本当に日本酒がフィットしているのかどうかを、さまざまなデータマトリクスを活用しながら説明した。

ウマミラボでは日本酒を振る舞っていた
ウマミラボでは日本酒を振る舞っていた

 東洋ガラスも、「Alchemist Bar ─taste is who you are─」を展示した。これは、味覚共有というもので、ドライフルーツやハーブ、スパイスなどを組み合わせて自分好みのお酒をつくり、シェアするという趣向だ。

フルーツなどを日本酒と合わせて自分好みの味に
フルーツなどを日本酒と合わせて自分好みの味に

フード問題は人類全員の問題

 50年までに地球上には90億の人間があふれ、2100年には110億人にまで膨れあがる、と国連は発表している。日本の人口は減少するが、地球全体の人口は増え続けるのだ。

 そんな時代の先駆けとして今回、イベントを主催した一人である望月氏は、「フードロスも大きなテーマの一つ。今回はシンギュラリティー後に起こるかもしれない食糧危機をテーマに、普段は廃棄される野菜の部位だけで作るヴィーガンスープを提供した。無駄を省きながら価値を最大化する視点で考えると、食を通じて未来と対話できる」とコメントしていた。