SXSW(サウス・バイ・サウス・ウエスト)には、様々な新製品やサービスを表彰するアワードも多く開催されている。中でもインタラクティブ・イノベーション・アワードはSXSWでも最大級で、2019年は人工知能(AI)を利用したヘルスケア領域の受賞が目立った。
「SXSWインタラクティブ・イノベーション・アワード」は今年で22回を数え、SXSWの公式イベントとして最大級だ。2018年中に実現された成果が評価の対象であり、スタートアップから大企業まで多数の応募を集めた。
SXSWのメインホールで開催された表彰式の大会場は、AIやヘルスケア、ロボティクス、音楽のイノベーションなど13分野のファイナリスト、SXSWの参加者やメディアで満杯となった。13分野それぞれ5社・者のファイナリストの製品やサービスがスクリーンに映し出され、最優秀賞が表彰された。
パーソナライズとヘルスケアが高評価
今回の受賞で目立ったのは、人工知能(AI)などを利用したパーソナライゼーション、社会的にインパクトの大きなヘルスケアや医療に関連する製品やサービスである。
例えば、「ミュージック&オーディオイノベーション」分野で最優秀となったのは、自己学習するヘッドホンを開発したオーストラリアのニューラ(Nura)だ。
ヘッドホンを装着した状態で試験用の音を送信し、鼓膜などで反射した音を分析。利用者の耳の高音・低音の聴取特性を把握して、ヘッドホンで再生する音質を調整する。スマートフォンのアプリで結果を確認し、調整することも可能だ。
「スタイル&ウエアラブルテック」分野でもパーソナライズが可能な補聴器の米イヤーゴー(Eargo)が受賞した。
AIによる画像処理が実用に
「AI&マシンラーニング」分野では米インスパイレン(Inspiren)が選ばれた。
インスパイレンはセンサーを利用した病院用の監視サービスを提供しているIoTスタートアップだ。カメラではなく、AIを活用した画像認識のセンサーで、プライバシーに配慮しながら患者の動きをデータとして把握し、可視化するのが特徴だ。
看護師など医療現場のヒューマンエラーによる問題をなくすのが狙いだという。例えば、患者がベッドから落下したのを検知して、警告を発するといったものだ。看護師が1時間ごとなど定期的に確認するよりも確実で、現場の負担も減らすことができる。
米アイラ(Aira)はAIによる画像認識を活用して、盲目の人にどのようなものが目の前にあるのかをナビゲーションするスマートグラスを提案、「ソーシャル&カルチャーインパクト」分野を受賞した。
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