美しくなるために化粧品にできることは30%。残りは、食と生活習慣だとされる。オーガニック化粧品メーカーのネオナチュラル(名古屋市)は、新商品として甘酒「はだ恵り」を発売した。その裏には、他社とは異なる美の価値観と、ユーザーモデルがあった。これを踏まえてウェブサイトをリニューアルしたところ、新規訪問者のコンバージョンレート(CVR)は25%向上した。

化粧品メーカーのネオナチュラルはどのようにしてCVRの向上を実現したのか(写真/Shutterstock)
化粧品メーカーのネオナチュラルはどのようにしてCVRの向上を実現したのか(写真/Shutterstock)

オーガニック化粧品市場の拡大

 2003年から化粧品作りを開始した化粧品メーカーのネオナチュラル。きっかけは、高柳昌博代表の娘が当時アトピーで、そのために始めたせっけん作りだった。ネットショップを中心に売り上げを伸ばし、急成長した。さらには自然由来の素材を使った化粧品のラインアップを増やすことで、当時は珍しかった国産オーガニック化粧品として順調に業績を伸ばした。

 しかし、2010年ごろから日本でもオーガニック化粧品が流行。市場は広がったが、競争が激化し業績は伸び悩んだ。自社で農場を有し、安全安心な原料を使っていることが大きな優位点であると考えていたが、似たような表現は競合他社のウェブサイトでも見受けられた。

 価格優位性もあったが、極端な差はない。サイト訪問者の立場からすれば、いずれにしても明らかと言える優位性には見えなかった。

「美の基準」を再定義する

 これでは、選ばれないのは当然だ。改めて、自社の商品の特徴を明確にする必要があった。

 ネオナチュラルの特徴はどこにあるのか。ルーツは娘のためのせっけん作りだ。だからこそ、根底には美しさは健康の上に成り立つという考えがあった。ネオナチュラルが考える美しさとは、いきいきとした生命の美しさ。母から見ても美しい、子から見ても美しいこと。時代が変わっても変わらない美しさであることだ。

 他社よりも健康を重視するからこそ、装うのではなく、肌の美しくなる力を引き出すという考え方を持つ。この価値観が他社との違いの根源になりそうだ。

 価値観に基づいて、自社の顧客を大きく3つのタイプに分類した。アトピーなど肌トラブルを抱えてオーガニック化粧品を探す「肌トラブルユーザー」。かつてトラブルがあり、化粧品の原料や成分に気を使う「成分探究ユーザー」。そして、オーガニック化粧品を使いながらも、かつてと同じ仕上がりにはならず物足りなさを感じている「肌の衰えユーザー」だ。

 肌トラブルユーザーがトラブルを解決することで成分探究ユーザーに成長し、やがて肌の衰えユーザーに至ると考えた。それぞれのAB3C分析性は以下のようになる。

 肌トラブルユーザーが求めているのは、目の前のトラブル解消だ。それならば、解消できる理由である成分や原料について伝えるべきだ。しかし成分探究ユーザーが求めているのは、今のトラブルの解消ではない。今後もトラブルになりたくないという保険だ。もちろん、その上で美しくありたい。

肌トラブルユーザーのAB3C分析
肌トラブルユーザーのAB3C分析
成分探究ユーザーのAB3C分析
成分探究ユーザーのAB3C分析

 そして肌の衰えユーザーは、以前と同じことをやっていても効果が得られないストレスを感じている。かつてのように美しくなるためには、化粧品を超えて食や生活習慣にまで踏み込んだ改善が必要だ。AB3C分析による整理から、これを支援することも、これからのネオナチュラルのミッションだと改めて気づいた。

肌の衰えユーザーのAB3C分析
肌の衰えユーザーのAB3C分析
大きく3つある顧客のタイプの違い
大きく3つある顧客のタイプの違い

ウェブサイトをリニューアルした結果

 そこで、各ユーザーモデルに伝えるべきメッセージに合わせて、それぞれの商品がどのユーザーモデルを主な対象としているのかを整理した。各商品の紹介コンテンツもターゲット別のメッセージに合わせたものに修正。構造設計も変更した。その結果、新規訪問者が商品を買うCVRは25%向上した。

ネオナチュラルのコンバージョンレート(CVR)の変化
ネオナチュラルのコンバージョンレート(CVR)の変化

 ネオナチュラルは、商品の原料を生産するために自社で農場を持ち、代表自らが毎週のように農場で汗を流している。甘酒もこの農場で製造しているものだ。新しいAB3C分析に沿って食と生活習慣の一層の支援をするため、自然に触れ、汗を流すための体験施設や、宿泊施設までを作ることを目指している。