インフルエンサーマーケティングの歴史

 インフルエンサーマーケティングの基本を、SNSを舞台とした「個人による発信」とするなら、日本におけるその源流は、1999年にサービスが開始されたNTTドコモの「iモード」と考えられる。これにより、携帯電話ユーザーがキャリアメール(iモードメール)の送受信やウェブページの閲覧ができるようになり、個人としてインターネットの中で自立し始めたからだ。

 より実質的なインフルエンサーマーケティングが形成されていく過程は、SNSの進化と拡充の流れと重なる。2004年に米国でフェイスブックが創業し、2006年には同国でツイッターのサービスがスタート。日本では2008年、フェイスブックが日本語に対応し、同年ツイッターも日本語サービスを開始した。

 2010年、インスタグラムが登場し、2014年に日本語アカウントが開設された頃から、「SNSで影響力のある人」という意味合いで「インフルエンサー」という言葉が使われるようになった。それに伴い、インフルエンサーの影響力を活用したインフルエンサーマーケティングが急速に発達し、現在に至る。

インフルエンサーマーケティングの強みと弱み

●フォロワーからの信頼の高さが強み
 インフルエンサーマーケティングの最大の強みは、フォロワーにとって情報源としての「信頼度の高さ」である。

 マスメディアによる広報・宣伝活動は、企業などの送り手に有利な情報として消費者にとらえられてしまうこともある。一方インフルエンサーマーケティングで与えられた情報は、あくまでインフルエンサーの体験事例であるため、個人的であっても、商品に対する純粋な感想や正当な評価として受け取られやすい。フォロワーはインフルエンサーの価値観や世界観にどれだけ共感できるかで選んでいるため、情報に対する信頼も高くなる。

 その結果、インフルエンサーマーケティングで訴求した商品やサービスの価値や魅力に関する情報の信頼は厚くなり、購買や利用につながりやすくなる。

●KPIなど指標化が困難なことが弱み
 インフルエンサーマーケティングでは、これまでエンゲージメント率でKPIを測定するのが一般的だったが、より効果的な運用を目指すために用いる指標としては、やや不十分と言わざるを得なかった。現在LIDDELLでは、1投稿当たりの評価測定基準として、「影響の範囲の値」「承認の値」「発見の値」「参考の値」「印象の値」という5つの要素で構成される「共感指数」を開発し、インフルエンサーマーケティングの効果を指標化している。

インフルエンサーマーケティングの将来像

 インフルエンサーマーケティングでは今後、以下の動きに注目が集まる。

●インフルエンサーのバーティカル・メディア化
 店舗情報や料理レシピ、特定のスポーツや趣味に特化したメディアは「バーティカル・メディア」と呼ばれる。これらは指向性が強く、利用者の属性や興味の対象が限定的なため、通常よりも商品のターゲットを絞りやすいと考えられている。メディアに近い存在であるインフルエンサーは、その得意分野を専門家させることで、次第にバーティカル・メディア化していくと考えられている。

●インフルエンサーマーケティングで新市場開拓
 SNSの中でも特に共感が重視され、インフルエンサーマーケティングの主戦場となっている「インスタグラム」は、長らくフォローしたり、されたり、「いいね!」をしたり、コメントするだけの場だった。しかし2018年にショッピング機能が追加され、インスタグラムの投稿で商品を見たユーザーが、そのままECサイトに移動して、商品を購入できるようになった。

 インスタグラムの世界でお金が動き、ショッピングや売買といった取引が可能になった結果、SNSの世界に新たな「市場(マーケット)」が生まれた。コンシューマーに対する豊富な情報提供の実績と大きな訴求力を誇るインフルエンサー、およびその影響力を活用したインフルエンサーマーケティングが、今後、この新市場でビジネスをリードしていくことになるだろう。