カジュアルウエアにプロ品質を──。一般客向けに始めた新業態「ワークマンプラス」がヒットし、今や飛ぶ鳥を落とす勢いのワークマン。仕掛け人である土屋哲雄常務は早くも、その次の策に思いを巡らせている。発想は同じだ。ライバル不在の市場を攻める、徹底した「ブルーオーシャン戦略」にある。

ワークマンプラスを仕掛けたワークマンの土屋哲雄常務。着用しているのは自社ブランドのスポーツウエアだ
ワークマンプラスを仕掛けたワークマンの土屋哲雄常務。着用しているのは自社ブランドのスポーツウエアだ

 職人御用達の作業服専門店から一般客も詰めかける“今風の店”へと変貌を遂げたワークマン。1年前に5000円前後だった株価は上値追いを続け、ついに上場来高値を更新。1万円も射程圏内にとらえた。「社員1人当たりの時価総額で1位になりたい」。土屋哲雄常務は常々そう言っていたが、ワークマンプラスがけん引し、まさにその目標に、近づき始めている。

 ワークマンプラスは、ワークマンの1700品目に及ぶ商品のうち、アウトドアウエアやスポーツウエア、レインスーツといった一般向けの商品を“切り出す”ことで生まれた。アウトドア、スポーツ用品の世界では、低価格かつ機能性を前面に打ち出したブランドがなかった。だからこそ、勝機があるとみたのだ。

 ワークマンは、競争相手がいない「ブルーオーシャン」を突くことを信条とする。なぜなら「競争したくない会社だから」(土屋氏)。競争して負けるぐらいなら勝負しないほうがいいとさえ考える。2019年3月29日、世界最大のスポーツ用品チェーン「デカトロン」がいよいよ日本に1号店を構える。安く高機能な商品を自社開発するというSPA(製造小売り)のビジネスモデルは同じだが、商品展開で切り取ると、ワークマンとデカトロンでは、ずいぶんと趣を異にする。

 例えば、ワークマンプラスは服と靴が中心で、いわゆるスポーツ用品は扱っていない。一方、デカトロンはスポーツ用品の品ぞろえに定評があり、自転車からキックスケーター、シュノーケリングマスクまで、多ジャンルをカバーする。

 唯一競合すると言えばアウトドアウエアやスポーツウエアだが、「うちの場合は結構、街着としても着られている。デカトロンさんにはバスケットシューズやサッカーシューズはあるが、一般向けの軽量シューズはない。だから、がちでぶつかることはない。敵のようで敵ではないんです」と土屋氏は言い切る。つまり、デカトロンが進出してもなお、ワークマンプラスがブルーオーシャンであることに変わりはないのだ。

 それを承知で3年前から土屋氏は、社員が海外出張する際には必ずデカトロンの店舗を見て来るようにと、呼び掛けてきた。近い将来、必ず日本に出店してくると読んだのだ。だから、デカトロン進出の一報にも「全然驚かなかった。ずっとよく知っていた存在だから。むしろデカトロンさんは、もっと早く進出しても成功した。やっぱり本物だし、日本受けもすると思う」(土屋氏)と、“ライバル”をたたえる。

 デカトロンの進出により、ワークマンの注目度はさらに高まる。この春夏は、アウトドアウエア、スポーツウエア、レインスーツの3ブランドを前期比で2.3倍に増産。機能性を高めたカーゴパンツや、冷涼感のあるトップスの販売数量で日本一を狙い、女性向けの商品ラインを拡充する。“業界初の超撥水(はっすい)”加工を施したデニムカーゴパンツも投入する予定だ。「これまで春夏は(対外的に)商品発表会をやらなかった」(土屋氏)が、今回はマスコミを集めて体験コーナーまで設けて発表する気合の入れようだ。

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