世界51カ国に約1500店。売上高1兆3000億円(2018年度)で業界1位の巨人が、ついに日本へ上陸する。フランス発、世界最大のスポーツ用品店「デカトロン(Decathlon)」だ。激安かつ高機能、多種多様なスポーツをカバーする品ぞろえで世界を席巻する “黒船”の正体をいち早くひもとく(デカトロン日本1号店のオープンに合わせ、特集1回目を再掲載しています)。
「住みたい街ランキング」関西版(リクルート住まいカンパニー)で6年連続首位に立つ、ニシキタこと西宮北口(兵庫県西宮市)。絶大なブランド力を誇るこの街の顔というべき商業施設「阪急西宮ガーデンズ」がこの春、大きく生まれ変わる。
リニューアルするのは、全館の約3割に当たる73店舗。中でも目玉となるのが、日本1号店として2019年3月29日にオープンするデカトロンだ。海外ブランドの上陸としては、IKEA以来の旋風を巻き起こすポテンシャルを秘めている。デカトロンとは何者なのか。そしてライバルはどんな戦略で立ち向かうのか。商品企画、製造、マーケティングなどの実態から、つまびらかにする。
スポーツごとにブランドを量産する“メーカー”
デカトロンは1976年、フランス北東部、ベルギーとの国境に近い街リールで創業した。五輪種目の一つである十種競技(=decathlon)にちなんだ社名の通り、スポーツや競技ごとにオリジナルブランドを次々と立ち上げ、製造販売するSPA(製造小売り)のビジネスモデルで成長してきた。
有名ブランドは基本的に扱わず、自社商品で店内を埋め尽くす。つまり、デカトロンは、世界最大級のスポーツメーカーでもある。
例えば、登山、ハイキング、キャンプなどのアウトドア用品は「QUECHUA(ケシュア)」、陸上、ランニング用品は「KALENJI(カレンジ)」というブランド名でそれぞれ商品を展開。
この他、フィットネスやヨガ、ダンス、格闘技は「DOMYOS(ドミオス)」、水泳は「NABAIJI(ナバイジ)」、ロードバイクやサイクリングは「B’TWIN(ビトウィン)」、キックスケーターやスケートボードは「OXELO(オクセロ)」、ウオータースポーツは「TRIBORD(トリボード)」と、極めてブランドを細分化している。17年にはトリボードから枝分かれする形で、ダイビングに特化した新ブランド「SUBEA(スベア)」が発足した。
デカトロンは、いわばこれら幾多のブランドを束ねる、ホールディングカンパニーのような存在。個々のブランドは社内で「パッションブランド(Passion Brand)」と呼ばれている。
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