アプリを開くと、現在地を中心とした地図の上に、飲食店舗や宿泊施設のアイコンが表示される。アイコンをタップすると、店舗・施設のバリアフリー情報が一目で分かる──。「Bmaps(ビーマップ)」は、障害のある人や高齢者、外国人などに店舗・施設のバリアフリー情報を無料で提供するアプリだ。
ビーマップを開発したのはミライロ。「バリア(障害)をバリュー(価値)に変える」という「バリアバリュー」の考え方で、障害のある人も幸せに暮らせる社会を目指している企業だ。社長の垣内俊哉氏自身も車いすを利用しており、当事者の視点を生かしたコンサルティングを行っていることが特徴だ。
ビーマップは障害のある人や高齢者、ベビーカー利用者や外国人など、移動に不安を感じている人たちのために、店舗・施設のバリアフリー情報を無料で提供している。2014年にプロトタイプをリリースし、16年に正式にオープンした。登録ユーザーは約1万2000人で、15万件以上の店舗・施設の情報が登録されている(19年2月現在)。
ビーマップの大きな特徴が、さまざまな人の視点に立った情報を提供していること。障害のある人や高齢者、ベビーカー利用者、外国人では、欲しい情報も変わってくる。障害のある人でも、障害の内容や程度によって、必要とする情報は違う。
そこでビーマップは、利用のしやすさを表す5段階の星評価の他に、店舗・施設の特徴と設備を表す16のアイコンを用意した。「フラット」「広い」「静か」「明るい」「エレベーター」「一般駐車場」「優先駐車場」「ほじょ犬対応」「車いす対応トイレ」「オストメイト対応トイレ」「授乳室」「コンセント」「クレジットカード」「電子マネー」「公衆Wi-Fi」「禁煙・分煙」と、細かく分けたことでおのおのが必要な情報を得られるようにした。
ビーマップならではの項目が「入り口の段差の数」だ。入り口の段差の情報に「0段(スロープ含む)」「1段」「2段以上」の3項目があり、店舗・施設の使いやすさが分かるようにした。通常の地図アプリでは、「入り口に段差があるかないか」だけを表示する場合が多いという。
「車いすを利用したことがない人は、“車いすは1段でも段差があると通れない”と考えがち。しかし実際の車いすは1段の段差なら、前輪を持ち上げて乗り越えることができる。ただし、2段以上になると車いす自体を持ち上げる必要が出るため、とたんに難度が上がる」とミライロ広報部の岸田奈美部長は話す。
この項目は、実際に車いすを利用している垣内社長の視点があったからこそ実現した。もちろん通常の地図アプリのように、店舗の写真やレビューも投稿できる。店内の様子や商品に加えて、入り口や段差の写真も投稿できるので、行けそうかどうかが確認しやすい。
(1)車いす利用者や、足などが不自由な人のために用意した「入り口の段差の数」という項目
(2)自分の状況に合わせて、行きたい店舗・施設の特徴や設備を検索できる
(3)レビューを投稿したユーザーの身体特性でも検索が可能。「車いす利用者が実際に行った店舗だ」と分かれば、他の車いす利用者が使用できる可能性も上がる
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