プラットフォームを問わず「感動体験」を届ける

GoogleのStadiaやAppleのApple Arcadeなど新たなプラットフォームが登場します。

さまざまなプラットフォームからお声がけをいただき、検討を進めています。ゲームを取り巻くビジネスモデルは、パッケージソフトなどの買い切りに加えてスマホ向けゲーム市場の形成とともに「フリー ツー プレー+アイテム課金」が確立し、さらに今回の流れで「サブスクリプション(定額課金)」が登場し、ビジネスモデルの変化も起こりつつあるように感じます。さらに5G時代に向けてストリーミングによるゲームの配信もより一層行われると思います。

 これまでもゲーム業界ではプラットフォームが広がる時期と、お客様がそのどれかに集まり、そこが活性化する時期、成熟する時期を経てまた新しい世代へと繰り返してきました。現在はプラットフォームの転換にあたる時期と考えています。私たちはグローバルに展開するスタジオ、そしてパブリッシャーとして国内外いずれにおいてもさまざまなプラットフォーマーに対して協力させていただき、可能性を広げることに参加させていただこうと思っています。そしてどのような方向にも対応できる準備を進めてまいります。

 プラットフォームを自社で持つかについては、現在は考えておりません。セガのミッションはゲームを通じてお客様へ感動体験を届けることです。それを実現するには、現在は他社のプラットフォームに我々が開発したコンテンツを提供し、事業展開することが最適だと考えています。セガは家庭用ゲーム機に進出し、後に撤退するなど、転換期を何度も経験しているので、どのような形でお客様に(感動体験を)届けるかについて、その時代時代に合わせて考えています。今はマルチプラットフォームの時代ですから、どこでもお客様が最も喜んでくださるところにコンテンツを提供することが私たちのミッションに合致することと捉えています。

「メガドライブミニ」は好評のようですね。

収録する42タイトルすべてを発表しましたが、収録内容にはかなり満足いただけているようです。メガドライブは多くの人に愛されていて、サードパーティーの各社様からはタイトルの収録に関して、快く許諾を出してもらっています。メガドライブを出していた時代にしっかりとしたビジネスができていたので、良い関係を構築できていたのだなと感じます。

「メガドライブミニ」(C)SEGA
「メガドライブミニ」(C)SEGA

18年から『ぷよぷよ』でeスポーツに参入しています。

18年からeスポーツが日本のゲーム業界で盛り上がってきており、セガとしても参入したいと考えていました。eスポーツはゲームを体験する形、ゲームに対する見方に新たな可能性を提供できると感じています。これまでゲームと言えば自らプレーして楽しむものでしたが、今は人のプレーを視聴する、イベントとして楽しむことも加わりました。eスポーツを通じてゲームに関心を持つ人が増えればゲーム産業にとって良いことだと思います。

 『ぷよぷよ』でこの1年間を通してeスポーツに取り組んできましたが、まだまだ収益に直接結びつく段階までには至っていません。一方で、eスポーツの持つ可能性はゲームをする人、見る人の裾野を広げていく点でも、『ぷよぷよ』のファンを増やしていくという点で効果があることを実感しています。

 数あるセガのタイトルの中で『ぷよぷよ』をeスポーツタイトルとして選んだのは、ファンコミュニティーが以前から存在し、その結束力の強さが理由の1つです。コミュニティーで活躍している方々にセガがオフィシャルで大会を開くこと、そこに参加してもらうことについて、共感していただくことができました。

 また、『ぷよぷよ』は老若男女が楽しめるゲームであり、多くのプレーヤーが大会に参加できる門戸の広さも理由の1つです。実際にJeSU公認のプロプレーヤーの中には女性が2人認定されており、他のタイトルに比べればプレーヤーの女性比率は高いですね。

 これまでの取り組みの結果、19年9月から開催される「いきいき茨城ゆめ国体」の文化プログラムでのeスポーツ大会のタイトルに選出されました。国体に関しては47都道府県で予選会を実施しますのでかなり大変で、セガとしても初の試みです。イオンモールさんに協力をしていただけることになったので、会場の手配については大変助かりました。そういった協力が得られるのもeスポーツが世間に認知されている証拠ではないでしょうか。

 セガはこれまでにゲーム大会を数多く行ってきましたし、『バーチャファイター』など対戦型のタイトルも多く保有しています。それらのeスポーツ大会を望む声もいただきますが、現時点ではまず『ぷよぷよ』で経験を積み、実績を積み上げたうえで次の展開を考えていきたいと思います。

eスポーツの盛り上がりに反して、VRが減速気味です。

現時点ではVRが家庭用やスマホ向けゲーム市場の大きな割合を占める、という段階にはなっていないと考えています。VR技術については、広くコンテンツを提供していくには技術的に課題がまだまだありますし、非常に面白い要素がありながらも、それを生かしたコンテンツが業界全体として不足しています。ただ、専用の施設やきょう体を使っての展開はある程度取り組んでいけると思います。VRやARの研究は継続して行っていますし、いざVR市場が拡大する、となった際には対応できる技術力の蓄積は進んでいます。しばらくの間、セガグループとしてはロケーションを中心に行っていくことになります。

19年を含め、今後の展開はいかがでしょうか。

私が社長に就任してから2年間、世界のスタジオから世界市場へ向けての展開を推し進めてきましたが、これは今後も継続します。中国ではゲーム審査も再開され、19年は私たちの新たなタイトルを展開できると期待しています。

 また、19年は東京2020オリンピックに向けて、オリンピックタイトルや『新サクラ大戦』『P5R(ペルソナ5 ザ・ロイヤル)』などビッグタイトルを含んだ1年となります。『新サクラ大戦』は「新」と付くにふさわしい内容とクオリティーでリリースできると思いますので期待してください。その他、『けものフレンズ3』などのモバイルタイトル、『Total War : THREE KINGDOMS』などのPCタイトル、そして『メガドライブミニ』に注力していきます。

『新サクラ大戦』(C)SEGA
『新サクラ大戦』(C)SEGA
『けものフレンズ3』(C)けものフレンズプロジェクト2G  (C)SEGA
『けものフレンズ3』(C)けものフレンズプロジェクト2G (C)SEGA
松原健二(まつばら けんじ)氏
セガゲームス代表取締役社長 COO
1986年東京大学大学院工学系研究科情報工学専門課程修了。同年、日立製作所に入社。マサチューセッツ工科大学Sloan大学院へ留学。97年に日本オラクルへ入社、2000年問題や新規事業に携わる。01年にゲーム業界のコーエー(現コーエーテクモゲームス)に入社、オンラインゲーム事業を担当。07年に代表取締役社長に就任。テクモとの経営統合や事業合理化、ソーシャルゲームへの進出を推進。11年に米国Zynga社日本法人社長としてソーシャルゲーム事業を推進。14年にセガネットワークス(現セガゲームス)に入社、17年より現職。

(写真/中村宏)