今は思い切りのいい天才しかヒットを出せない時代

かつては、いわゆる“オタク”とそうでない層の間に断絶があったのに、今の20代ぐらいになると、みんながベースにオタク気質を持っているように感じます。

あまりオタクという言い方はしたくありませんが、熱心なファンとライトユーザーの境界がだんだんなくなってきたとは思います。一見、普通に見える女性が、コアなスマホゲームにものすごくハマっている。いわゆるオタク的なもの、秋葉原的なものが、他の街でも当たり前の風景になりつつあります。むしろ、秋葉原の時代が終わったと言ってもいいかもしれません。

 また、こんなデータもあります。リズム&アドベンチャーゲームである『ガルパ』のユーザーが、それ以外で一番多くプレーしているゲームは、バトルロイヤルゲーム『荒野行動』(中国・NetEase Games)だというんです。中高生が多く、男女比は7:3ですが、両方やっているユーザーが多いんです。

全く対極にありそうなゲームですよね。

そうなんです。エンタメに限らず、世界中で情報や文化がすべて地続きになって、いろいろなものが互いに受け入れやすくなっているのだと思います。

 ということは、海外勢のゲームが日本に入りやすくなった、ということです。新規性のあるタイトルが海外から来る一方、日本のゲーム会社ではなかなか新規の企画が通らず、焼き直しみたいなものばかり出てくる。マーケットのサイズは変わらないのに、海外勢の比率がどんどん上がる。そんな傾向が強まってきています。

日本勢にとっては厳しい状況ですね。

「秀才が机の上で考えて出した企画じゃ大ヒットは出せない時代だよ、思い切りのいい天才しかヒットを出せない時代だよ」と言っています。人がやっていないことを思い切ってやらないと大ヒットは出ないと思います。

 今、当社は“IPデベロッパー”になろう、と言っています。不動産のデベロッパーをイメージいただけると分かりやすいのですが、電鉄会社が何もないところに線路を作って、球場を作って、デパートを作って、住宅地を作って、付加価値を付けていく。我々もIPの付加価値をどんどん高めて、みんなにより楽しんでもらえるものにしたいのです。

最後に、19年度に注力されるポイントを教えてください。

19年度は、スマホアプリゲームとアニメを中心にして、カードゲーム、音楽、マーチャンダイズ、出版、タレントビジネス、ライブイベントと、展開力を高めながら、既存タイトルを強化していきます。そうして、新規タイトルが控える20年に備えたいと考えています。

木谷 高明(きだに・たかあき)氏
1960年石川県生まれ。大学を卒業後、山一証券勤務を経て、94年にブロッコリーを設立。2001年にJASDAQ上場を果たす。07年ブロッコリーを退社し、ブシロードを設立、代表取締役社長に就任。14年からBushiroad South East Asia(現・Bushiroad International)のCEOを兼任し、シンガポールに駐在した。17年10月に代表取締役を辞任、デジタルコンテンツ事業および広報宣伝を管掌する取締役、子会社・ブシロードミュージックの代表取締役社長を兼任し、コンテンツ開発の最前線に立つ

(写真/稲垣純也)